2013年の国内金融IT市場は前年比1.1%増 IDC予測

IDC Japanは、国内金融IT市場の2013〜2017年の市場予測を発表した。

» 2013年10月02日 16時59分 公開
[ITmedia]

 IT調査会社のIDC Japanは10月2日、国内金融IT市場における2013〜2017年の市場予測を発表した。大型案件の継続、国内経済回復の兆しが見えていることから、2013年の同市場は前年比成長率1.1%の1兆6919億円となるとしている。

国内金融IT市場 主要システム別IT支出比率、地方銀行/第二地方銀行 2013年(出典:IDC Japan) 国内金融IT市場 主要システム別IT支出比率、地方銀行/第二地方銀行 2013年(出典:IDC Japan)

 金融IT市場とは、銀行、保険、証券、そのほか金融の国内におけるIT支出を指す。2013年は、自由民主党/公明党連立政権による積極的な経済政策、いわゆる「アベノミクス」によって、国内経済は回復の兆しが見えており、多くの業態でIT支出の拡大を見込んでいる。特にメガバンク(前年比成長率3.3%)や損害保険(同2.2%)では、勘定系/業務系システム刷新、統合の大型案件が継続しており、比較的高い成長率が予測されている。

 しかし、地域経済の回復は遅れているため、地方銀行では前年成長率0.4%、第二地方銀行は同マイナス0.4%、信用金庫は同0.0%、信用組合は同マイナス1.0%と、地域金融機関では低い成長率にとどまる見通しだ。

 また、2014年も大型案件が見込まれるメガバンクは前年比成長率3.5%、信託銀行は同1.8%、証券取引所そのほかも同1.8%という成長率が見込まれているが、それ以外の業態では、ハードウェアの更新需要の谷間でもあり低い成長率にとどまるとIDCは見ている。

 主要システム別でみると、各業態で「勘定系/業務系システム」がIT支出全体に占める割合が最も大きくなっている。ただし、2012〜2017年の年間平均成長率で比較した場合、勘定系/業務システム刷新が行われる一部の業態を除いて「顧客管理系システム」または「チャネル系システム」の年間平均成長率が高くなっていることから、多くの金融機関で中長期的に「顧客管理系システム」または「チャネル系システム」のIT支出が堅調に拡大すると見込まれる。

 これは、国内において高い成長が見込めないことから、多くの金融機関で収益拡大が重要な経営課題となっており、その解決のためにITを積極的に活用する金融機関が増加していることが要因として挙げられるという。しかし、依然として十分にITの活用ができない金融機関も多く存在している。

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