中堅・中小企業のセキュリティ対策に自信あり――ソフォスのヘイゲルマンCEOMaker's Voice

英Sophosの新CEOに就任したクリス・ヘイゲルマン氏は、中堅・中小企業と多拠点型大企業の顧客獲得に向けた新戦略を展開していくという。

» 2013年11月28日 08時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
Sophosのクリス・ヘイゲルマンCEO

 9月にセキュリティベンダーの英SophosのCEOに就任したクリス・ヘイゲルマン氏は、従業員数5000人以下の中堅・中小企業と多拠点を抱える大企業の顧客に注目した事業戦略を展開すると表明した。同氏に日本市場に対する期待を含めて話を聞いた。

 ヘイゲルマン氏は、「競合はコンシューマと大企業顧客向けのビジネスで収益の多くを上げているが、市場の大半は中堅・中小企業が占めており、彼らはこの分野を開拓できていない。しかし、我々にはその準備がある」と語る。

 その理由として同氏は、セキュリティの脅威が高度化・複雑化する一方、中堅・中小企業や多拠点型企業では脅威に対応できるリソースの確保が難しいと説明する。この状況における同社の優位性は(1)企業顧客に特化していること、(2)エンドポイントからネットワークまでのセキュリティ対策をカバーしていること、(3)100%チャネルビジネスに特化していること――だという。

 (1)については同社では創業当初から企業向け販売やOEMに注力しており(個人利用可能な無償製品も提供している)、(2)の点でもアンチウイルスを起点に暗号化によるデータ保護やUTM(統合脅威管理)によるゲートウェイセキュリティへもポートフォリオを広げてきた。(3)では世界で1万2000社の販売パートナーを確保している。

 こうした資産や実績をベースにヘイゲルマン氏は、中堅・中小企業や多拠点型企業が抱えるセキュリティ対策の課題に対して、新たにクラウドベースのソリューション展開を戦略の柱に掲げる。「今や従業員はオフィスの中だけでなく、自宅やオフィスの外からもシステムにアクセスして業務をこなし、データもさまざまに行き来している。ポイントごとのセキュリティ管理もさらに難しくなるので、クラウドを活用して効率的に管理できるようにしたい」(ヘイゲルマン氏)

 ソリューションの一例としては、PCやモバイルなどのエンドポイントの対策とUTMによるゲートウェイでの対策を一元化し、データも暗号化によって保護する。それらをクラウドベースの管理システムで統合的に管理できるようにしていく。同氏によれば、世界で2200カ所以上のオフィスを抱える従業員数13万人の広告代理店企業に同社のソリューションが採用されるなど、既に実績は出始めているという。

 日本市場でもこの戦略によって中堅・中小企業の新規顧客の獲得や大企業顧客での採用拡大を狙う。日本法人の代表取締役社長の堀昭一氏は、「これまで大企業や官公庁のサーバ保護で採用実績を伸ばしてきたが、新たにUTMも導入されるなど成果が生まれている」と話す。

 ヘイゲルマン氏は、日本企業にとっても限られたリソースの中でセキュリティ対策の改善や強化を図ることが大きな関心事となっているとし、今後も投資を拡大する考えを示した。直近では日本法人のオフィスを横浜から都心の六本木に移転させたばかり。「オフィス移転も顧客やパートナーのすぐ近くに居ることができるようにするため。日本には多くのチャンスがある」と語っている。

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