クラウドERPの雄、NetSuiteが野心的なUIやB2B機能を披露SuiteWorld 2014 Report(2/2 ページ)

» 2014年05月14日 09時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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 NetSuiteは元来、顧客レコードにひも付けてすべての情報を一元管理し、すべての業務を継ぎ目なく進めるというデザインに基づいているため、ほかの部門向けにつくられたアプリケーションの連携とは異なり、シームレスで一貫したユーザーエクスペリエンスを追求してきた。SuiteWorld 2014の基調講演で披露した新しいユーザーインタフェースは、HTML5をサポートし、いわゆる「フラットデザイン」を取り入れ、さらにシンプルで使いやすいものにしている。

 ゴールドバーグCTOは、「わたしはNetSuite創業以来、基幹業務アプリケーションを単に使いやすいというだけでなく、楽しみながら使えるようにするにはどうしたらいいのか、多くの時間を割いてきた。新しいUIは、顧客を念頭に置いただけではなく、実際に顧客によってデザインされた。そのエクスペリエンスは、ビジネスアプリケーションの新しいスタンダードとなるものだ」と話す。

 新しいUIのハイライトは以下のとおり。

  • スイートのすべてで全く新しいビジュアルデザインを採用
  • ナビゲーショナルヘッダーによってナビゲーションはもちろん、Global Search、Recent Records、Help、Quick Add、Shortcutsといったツールに素早くアクセスできる
  • 新しいQuick Addツールは、どこにいても、タスクやイベント、連絡先などを素早く追加できる
  • タブレット向けにエクスペリエンスを改良した
  • ダッシュボードのパーソナライズを容易にした

 NetSuiteでは、新しいUIを今年第3四半期に予定している「2014.2リリース」で提供するとしている。

B2Bでもオムニチャネルを

 基調講演でネルソンCEOが新しいUI以上に時間を割いたのが、B2Bでもオムニチャネルを実現する新しいB2B Customer Centerだ。

 「まるでeBayやamazonのようなB2Cのオンラインショッピング体験を堅牢なB2Bのe-コマースプラットフォームにも提供したい」とネルソン氏。B2Bのバイヤーは、発注状況や詳細、履歴、配送状況などをさまざまなチャネルやデバイスで確認できるほか、見積もりの承認、支払い、返品・返金請求などもより簡単に行えるようになるという。

 ネルソン氏は、新しいB2B Customer Centerによってディーラー向けのセルフサービスポータルを運営するVHA Corpをステージに招き上げた。カリフォルニア州ダイヤモンドバーに本社を置く同社は、米Sprint傘下のプリペイドブランド、「Boost Mobile」と「Virgin Mobile」の大手ディストリビューター。情報システム担当ディレクターを務めるジョン・マルチネス氏は、「B2B Customer Centerによって小売店が発注から配送の確認、支払いなどをセルフサービスで行えるようにした。わずか4カ月で取引の半数がオンラインに移行し、さらに比率が高まると期待している」と話す。

 調査会社、Forresterの試算によれば、B2Bコマースの市場は米国だけで5590億ドル、その規模はB2Cの2倍以上だという。

 B2B Customer Centerを含めたNetSuite SuiteCommerceの機能強化はまた、e-コマースの適用領域を、例えば「G2G」(Government to Government)にも拡大している、とネルソン氏は話す。やはり、基調講演でネルソン氏が紹介したテキサス州は、NetSuite SuiteCommerceを活用し、「TxSmartBuy」と呼ばれるG2Gサイト(購買ポータル)を運営、州政府のさまざまな局・部署がamazonのようなエクスペリエンスで調達業務を行えるようにしている。

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