東北大学、ゲノム解析などを行うスーパーコンピュータの本格運用を開始

東北大学東北メディカル・メガバンク機構は、東日本大震災の被災地を含む住民約15万人のゲノム解析などを行うスーパーコンピュータシステムの本格運用を7月から開始した。

» 2014年07月23日 16時35分 公開
[ITmedia]
大規模ゲノムコホート解析システムの概要

 東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)は、岩手医科大学と共同で進める東日本大震災の被災地の復興支援事業「東北メディカル・メガバンク計画」の一環として、東日本大震災の被災地を含む住民約15万人のゲノム解析などを実施する。解析には日立製作所が構築したスーパーコンピュータシステム「大規模ゲノムコホート解析システム」を活用する。ToMMoと日立が7月23日に発表した。

 スーパーコンピュータシステムは、7月から本格運用を開始した。まず、被災地を含む宮城県および岩手県の住民から提供されるゲノムを対象に解析を行う。住民から提供されるゲノムや生体試料などの情報は、研究者やシステム運用者などが個人を特定できないよう匿名化される。

 解析は数千人規模を対象としており、その結果から日本人の標準的なゲノム配列のデータベースを構築する。その後、標準的なゲノム配列と一人ひとりのゲノム配列を比較することでゲノムの違いを検出し、個々の診療情報などを組み合わせて、ゲノムの違いと疾患原因との関係性を統計的に解析する。

 ToMMoでは将来的にさまざまな解析手法も検討し、約15万人分のゲノム解析を進めていく予定だ。また、大規模なデータの管理にもスーパーコンピュータシステムを活用するとしており、同システムは血液などの生体試料、生活習慣や居住環境、病歴などに関する調査結果、生化学検査結果、MRI画像などの多様なデータを保管するバイオバンク基盤としての役割も担うことになる。

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