バラエティ番組などでは、フリップへクイズの答えを書いたり、スケッチブックなどでお手軽に済ます「手書き」はまだある。あえてそうする演出もある。
対して、ニュースや情報番組の生放送番組は、短期で、より迅速に、より正確な番組制作が求められる。インターネットネット、スマートデバイス、SNSの普及により、“速報”を得られる手段が多岐に渡るようになった現代の事情も少なからず背景にあるだろう。
TBS(東京放送)の番組制作の現場が、「これまでの紙のフリップ」で抱えていた課題は、
だった。電子フリップそのものはかなり古くからある。かつてTBS系で放送されていた名クイズ番組『クイズダービー』の解答モニターも、思い出せばその範ちゅうだと思う。表現力とは、「地デジ画質に耐える表示性能」を持ち、かつ「画面へ直接タッチ操作したり、ペン記入もできる」など、近年の技術やトレンドを取り入れた手法での、ということになる。
TBSはこの課題をどう解決したか。
手にして見せるフリップのサイズ感から、20インチほどの画面サイズがちょうどよい。加えてフリップとしての表現力は落とさず、地デジ画質に耐える高精細な表示、データ表示のための慣れた操作性、気軽に持てる軽量さ、屋外やロケでも安心できる防水性能や耐衝撃性、こんな現場のニーズを満たしてほしい。
この結果、4K表示対応パネルを採用した20インチWindows8.1タブレット、パナソニック「TOUGHPAD 4K UT-MB5」が選定された。TOUGHPAD 4Kは、20インチで3840×2560ドット表示(230ppi)の高精細液晶ディスプレイを備えたWindows 8.1搭載タブレットだ。
正面は画面のみとなるピュアタブレットスタイルで、厚さ12.5ミリ、重量約2.35キロの薄型軽量ボディを特長とする。A3用紙に近い画面比率であること、IEEE802.11a/b/g/n準拠の無線LANやBluetooth 4.0による無線通信機能、10点マルチタッチと電子タッチペン対応、76センチ落下試験(動作時/底面方向)に耐えること、そして、普通のWindowsデバイスのため、フリップの内容を管理するスタッフも普段のPCと同じ使い慣れた操作性でできる。制作現場のフリップの需要をカバーする性能をかなり満たしていた。
フリップの内容を作成するグラフィックデザイナーは、ほぼすべてデジタルデータでCGを作成している。電子フリップなら、このデータを何らかのアプリで表示すればよい。デジタルデータなら受け渡しや納品の方法も容易で、もちろん毎回発生する台紙や印刷のコストも抑えらる。仮に別の拠点で外注していたとしても、実物を運ぶ手間、コスト、リスク(事故や渋滞、紛失、盗難など)がかなり減らせる。
加えて、4K解像度の高精細ディスプレイであれば「気象衛星ひまわり」の4Kデータを無劣化・無加工で“そのままきれい”に表示できる。タッチ操作やペン入力もできることを応用し、スライドショーやデジタルペンでの手書きを併用しながら、より分かりやすく伝える演出ができるようにもなる。
「放送画質に耐えられる画質を待っていた。これならスタジオだけでなく、現場のフリップにも対応できる。これまでの紙のフリップでは、空模様を生中継しながらCG映像を操作・解説したり、最新情報をリアルタイムに反映したりすることはできなかった。報道現場でのタブレットの活用が、ニュース表現の新たな形を生み出し、分かりやすい番組制作に寄与している」(TBS)
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