東京五輪スポンサーの富士通とNECに求められる「グローバルブランド力」Weekly Memo(2/2 ページ)

» 2015年02月23日 17時00分 公開
[松岡功,ITmedia]
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グローバルITベンダーとしてのブランド確立を目指せ

photo NECの遠藤信博社長(左)と森喜朗氏

 NECの遠藤社長はこの点について、「東京五輪の経済効果は18兆円に及ぶと言われている。そのうちIT関連は1兆円余りの見込みで、当社としてその20%を取れるとうれしいというのが私の思いだ。さらに東京五輪後も利用可能な資産形成に努めていきたい」と語った。いわば150億円の投資で2000億円の効果が上がる計算だが、これはあくまでも理想とする期待値のようだ。

 富士通の山本社長はその投資効果について、数値こそ上げなかったものの「データセンターはこれからのサービス展開の要となるもの。東京五輪で得られる技術やノウハウを今後の事業に大いに生かしていきたい」と、十分にリターンがあるとの認識を示した。

 そうした「目に見える効果」を狙うのは当然、必要なことだ。さらに両社には「目に見えない効果」も追求してほしいものである。それは何か。「グローバルブランド力」の向上である。というのは、両社とも中期経営計画において「グローバル事業の強化」を重点方針に掲げているが、グローバルITベンダーとして確固たるブランドを築いているかといえば、まだまだ物足りなさを感じるからだ。

 世界の企業ブランド価値ランキングを見ると、米ブランドコンサルティング大手のInterbrandが昨年(2014年)9月に発表した調査結果によれば、1位はApple、2位はGoogle。以下、4位IBM、5位Microsoft、16位Oracle、17位HP、25位SAPと、30位以内にこれだけのITベンダーが名を連ねている中で、富士通とNECは100位以内にも入っていなかった。

 このランキングは、企業の財務分析やブランドが消費者の購買動向に与える影響の評価などをもとに、Interbrandがブランド価値を金額に換算してまとめたものだ。それによると、100位にランクインした任天堂のブランド価値は41億300万ドル(日本円換算 約4885億円/2015年2月23日現在)。これに対し、富士通は7億3500万ドル(同約875億円)、NECは4億9900万ドル(同約594億円)にとどまっている。

 ちなみにベスト10に入ったITベンダーのブランド価値は、Appleが1188億ドル(同約14兆円)、Googleが1074億ドル、IBMが722億ドル、Microsoftが611億ドル。その差は歴然だ。

 この調査結果だけでITベンダーのグローバルブランド力のすべてを判定できるかどうかは分からないが、富士通およびNECにとって大きな課題であることは間違いない。

 こうした状況を打開するためにも、両社には東京五輪のスポンサーに就いたのを機にプレゼンスを一層高め、グローバルブランド力を磨き上げていってもらいたいものである。両社にはそのポテンシャルが十分にあると信じたい。



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