オラクル、“日本版”PaaS開始 国内DCも年内設置へ「満を持して投入」杉原社長(2/2 ページ)

» 2015年04月09日 22時00分 公開
[岩城俊介ITmedia]
前のページへ 1|2       

なぜ“日本版”PaaSなのか

 日本では2014年秋より、サービス向け(Service Cloud)、マーケティング向け(Marketing Cloud)、人材マネジメント向け(HCM Cloud)など、SaaSの展開から開始し、2015年4月現在200社ほどのSaaS顧客を得た。ただ、PaaSにおいてはIT導入事情や方針、商習慣、SIの存在など日本の特殊な事情から「日本市場に受け入れられるしっかりとしたものを出したい」(杉原社長)との方針をとり、投入がここまで遅れた。

 なぜ日本へのPaaS投入に慎重だったのか。米国をはじめ他国はすぐSaaSへ行くが、日本ではPaaSを経てSaaSに行く。日本のIT導入ビジネスの構造として、システムインテグレータを中心にいくつかのレイヤーが存在するためだ。自前でとにかく導入してしまうからSaaSがいきなり浸透する他国のクラウド導入意向とは、日本はここが異なるという。

photo Oracle Cloud Platformの日本における展開

 日本版PaaSは、PaaSに特化した組織を発足し、エンジニア向けワークショップの展開、既存のオラクル製品パートナー企業約1800社との協業にも取り組む。加えて、オラクル社内に設置する顧客/パートナー向け検証施設「Oracle Solution Center」にもOracle Cloudと顧客のオンプレミスシステムによるハイブリッドクラウドの検証環境を用意する。

 培った技術スキルで展開できるOracle PaaSの活用を促進する目的で、今後半年(2015年10月)でクラウド技術者1万人の育成を目指す。また、Oracle Cloud Platformの技術者認定制度(ORACLE MASTERのクラウド板)も新たに立ち上げる。パートナーにも、既存の再販プログラムや紹介プログラムのほかに「独立ソフトウェアベンダー向けの契約プログラム」を新設。オラクル認定資格制度「Oracle University」、技術者同士のコミュニティ「Oracle Cloud Connection」といった教育プログラム、SaaS向けアドオンのオンラインカタログ「Oracle Cloud Market Place」などの営業支援プログラムも設置する。

 「オラクルはパートナーに対して競合なのか、協業なのか。やはり30年築き上げてきた“協業”を大切にする」(杉原社長)

photo 既存資産の保護と既存技術者の知識を最大限に活用する、オンプレミスで培ったエコシステムをクラウドへ発展させるのが狙い
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ