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» 2018年05月28日 07時00分 公開

請負型マインドからの「脱出」――DMM.comラボの情シスがスクラム開発に挑戦した理由(3/3 ページ)

[高橋睦美,ITmedia]
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2つの拠点にまたがるプロジェクトチームが密に連携

Photo デザイン部の竹内真理絵氏

 新規ポータル開発プロジェクトには、東京だけでなく、石川県で働くメンバーも参加している。以前から同社グループでは、本社と北陸オフィスの交流を深め、壁を取り払う取り組みを進めており、それをさらに押し進めた格好だ。「スクラム開発というと、1つの場所にみんなが集まって進めるものというイメージがありますが、今回は遠隔の拠点も結んで進めました。背景には、会社としてグローバルな展開を視野に入れていることもあります」(岩崎氏)

 東京と石川の間の数百キロの距離は、インターネットとさまざまなツールの活用で埋めていった。例えばテレビ電話で「昼会」を行い、チャット、あるいはTrelloなどのツールを用いて「今、何に取り組んでいるか」「次はどうすべきか」について密にコミュニケーションを取ったという。

 普段は北陸オフィスで働くデザイン部の竹内真理絵氏は「もともと東京とは連絡を取りながら業務を進めていましたが、スクラムのコミュニケーションで毎日顔を合わせるようになってからは『空気感』のようなものも共有できたと思います」と話す。同じくデザイン部の今村莉那氏も、「遠隔だからといって不便さは特に感じませんでした」と話す。

Photo 石川県のオフィスからテレビ会議でプランニングポーカーに参加する竹内さん
Photo デザイン部の今村莉那氏

 スクラムによって、開発者とデザイナーの関係もより密接なものになったという。「今までは分業の中でデザイナーとしての仕事に専念しており、“タスク全体に責任を持つ”というスクラム開発のやり方には慣れないところもありました。それが今回の取り組みを通じて、情報システム部の持っている温度感をサービスに落とし込んで社員とつなぐ『橋渡し』の役割を果たせるようになったと思います」(竹内氏)。

 本質的な課題を解決するには、どのようなデザインが最適なのかを考える機会にもなった。「スクラム開発を通じて一緒に仕事をすることで、『情報システム部の人たちって、こういうことを考えているんだ』と、肌で感じられたのは貴重な体験でした。社内の開発者だけがユーザーではなく、『提供する側である情シスの人たちもユーザーなんだ』という意識のもと、使う側と提供する側が互いにWIN-WINになるよう意識して設計していきました」(竹内氏)

成果物以外に「当事者意識」の醸成という効果も

 こうして、情報システム部門としては珍しくスクラム開発を取り入れたDMM.comラボ。1スプリントの期間を2週間と定め、約5カ月かけて新たなポータルサイトを構築した。

 プロジェクトが終わって振り返ってみると、スケジュール通りに期待通りの品質でサービスをリリースできたという成果もさることながら、当事者意識やプロダクトオーナーシップの醸成という効果が得られたのが大きかったという。岩崎氏は、“社内のエンジニアや従業員のために責任を持ってサービスを提供するのが情報システム部の役割”という、部門としての根本的な立ち位置を確認できたのは、大きな収穫だったと胸を張る。

 「スクラム開発を通じてメンバー全員が当事者意識を持つようになり、自分の領域外のことでも“できることは何でもやろう”という思いで仕事に取り組むようになりました。サービスの軌道修正もしやすく、より良い品質にできたと思っています。次の課題は、この成功体験をどのように横展開していくか。プロダクトオーナーシップを持つ楽しさや喜びを、もっと多くのスタッフに体験してもらいたいですね」(岩崎氏)

【聞き手:後藤祥子、高橋睦美】

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