「大阪進出」でAWSやMSに勝てるか? Google CloudのCEOに戦略を聞いた2019年4月リリースの新サービス「Anthos」とも連携(2/2 ページ)

» 2019年05月15日 08時00分 公開
[高木理紗ITmedia]
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企業向けクラウド業界の競争は激化――来日した社長が語った戦略とは

 今回Google Cloudの拠点は国内で2カ所になったとはいえ、既にAWSは東京リージョンと大阪リージョンの2カ所を運用しており、日本マイクロソフトも幅広いサービスを展開している。また2019年5月8日には、日本オラクルが新たに東京リージョンの運用を開始した。

 その中で、Google Cloudのシェアが小さい点は否めない。例えば、クラウドツールを提供するモビンギが調査企業のITRに依頼して行った調査によれば、国内企業が活用するクラウドサービスのうち「仮想マシン」の利用率は、AWSが61%を占める一方、Google Cloudのそれは34%にとどまる。コンテナサービスの場合、Googleの利用率は9%にまで落ち込む。Google Cloudは、この状況をどう打開していくのか。

※【訂正(2019年5月16日15時)】初出時にモビンギの調査結果を「シェア」と表現しておりましたが、正しくは回答者の「利用率」でした。

photo Google Cloudのトーマス・キュリアンCEO

 Google Cloudのトーマス・キュリアンCEO(最高経営責任者)は、2019年1月に就任し、その前は長年Oracleで幹部を務めていた人物だ。

 今回の記者発表会に登壇したキュリアン氏は、「私たちにとって、市場のシェアを増やすための最優先事項は、各リージョンの存在感を増やしていくことだ。大阪リージョンの運営や、セールス専門組織の拡充、パートナーとの協業強化などを通して、市場でのシェアを強化できると考えている」と話した。

 「私たちがクラウドを通してやっていることは非常にシンプルだ。私たちとAWSやAzureとの違いは、ハイブリッド環境やマルチクラウド環境といった、多様な環境での運用を可能にした点だろう。顧客に高速のインフラを提供することはもちろん、柔軟性では他のクラウドプロバイダーに抜きんでていると考えている。

 私たちの技術はデータ分析や人工知能(AI)、機械学習に最適で、『G Suite』などを使って現場のコラボレーションを強化できる。製造業やメディア、金融サービスなど、各業界に特化したサービスにも注力していく」(キュリアン氏)

 Google Cloudは今後、2020年をめどにソウルやソルトレイクシティ、ジャカルタなど、世界各地に新たなリージョンを開設する予定だ。

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