国保旭中央病院、スマートホスピタルに向け情報基盤を刷新 IBMのヘルスケア共通プラットフォームを活用

国保旭中央病院は、日本IBMと共同で「スマートホスピタル構想」の実現に向け、「ヘルスケアサービス向けデジタルサービスプラットフォーム」を利用した情報基盤を開発する。既存のカルテシステムも連携させて柔軟な情報活用を可能にし、業務効率化や患者の利便性向上など、病院機関のDXを加速させる。

» 2021年08月03日 08時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

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 日本IBMと国保旭中央病院(千葉県旭市)は2021年8月2日、次世代のデジタル駆動型病院「スマートホスピタル構想」の実現を目指し、「ヘルスケアサービス向けデジタルサービスプラットフォーム」を利用した国保旭中央病院の新たな情報基盤の構築を2021年8月1日から開始したと発表した。

スマートホスピタルを実現する情報基盤とは?

 ヘルスケアサービス向けデジタルサービスプラットフォームは、ヘルスケア領域でAI(人工知能)やハイブリッドクラウドなどの高度なクラウドサービスを活用するためのプラットフォーム。ヘルスケア業界向けの共通基盤としてIBMのパブリッククラウド「IBM Cloud」上で稼働し、臨床や研究で利用するための標準的な業務マイクロサービス群やそれらを利用するための各種APIを実装する。

 今回構築する国保旭中央病院の新たな情報基盤は、ヘルスケアサービス向けデジタルサービスプラットフォームで構築し、IBMの電子カルテシステム「IBM CIS+(Clinical Information System)」で既存システムと連携する仕組みも実装する。

 さらに、医療情報関連の国際標準規格である「FHIR」(Fast Healthcare Interoperability Resources)に準拠したサービスで標準化することで、共通サービスとして利用できるように検討していく。

 国保旭中央病院では、新情報基盤によって柔軟な情報活用が可能になり、デジタル活用による患者向けサービスや他業種との連携が容易になるとしている。

 また、国保旭中央病院と日本IBMは、新情報基盤を活用することで、「保険給付のデジタル化」「病院業務の効率化」「患者の利便性向上」といった病院を中核としたヘルスケア領域のデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む。

 取り組みの第一弾として、民間保険会社への保険給付に必要とされる「診断書・証明書の発行をデジタル化するサービス」を共同開発する。

 同サービスにより、保険給付の手続きを行う患者は、診療データの入力が容易になる他、紙での申し込みや受け渡しなどが省略されるなど、利便性が向上する。

 また、医療機関にとっては、患者との手続きが簡略化される他、必要なデータをデジタルで入手することで事務効率化や業務の流れの最適化を図ることができる。

 さらに、将来的には同サービスを保険会社と連携させることで、給付側の業務効率向上や給付に必要な時間短縮といった効果も見込む。

 新情報基盤の開発後は、ヘルスケアサービス向けデジタルサービスプラットフォームを基盤としたサービスを広く医療機関、保険会社向けに拡張していくことを検討し、社会実装に向けた業務と実装の解決に共同で取り組むとしている。

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