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» 2004年05月29日 12時00分 公開

問題発見能力を高める(3):「効率」と「効果」の違いが分かりますか? (3/3)

[秋池 治,@IT]
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■コラム ― “孫子の兵法”から学ぶ ―

 戦略といえば、“孫子の兵法”を思い出すのは私だけではないと思います。最近もハリウッド映画を見ていたとき、ニューヨークはマンハッタンのオフィスでやり手の経営者と役員の会話で「社長、それはいつもの“孫子の兵法”の引用ですか?」という場面がありました。ほかにもアメリカ映画のビジネスシーンで“孫子の兵法”が出ていたという記憶があります。

 ということで、“孫子の兵法”をご紹介します。

■「敗者は戦って後、勝ちを求める」、「勝者は勝って後、戦いを求める」

 この意味は、下記のようになります。

 戦いに負ける者は、戦い始めてからどうやって勝とうかを考える。それに比較して戦いに勝つ者というのは、戦う前に勝つための考えを十分に練り上げ、その後、実際に戦う。


■「敵を知り己を知って戦わば百戦これ危うからず」

 事前に敵を知るためにリサーチすると同時に、自らの力も客観的に評価したうえでシミュレーションを行い、勝てる場合のみ戦いに臨む。負ける戦いは行わず和睦交渉に持ちこむので、100回戦っても負けることはない。


 この2つの兵法は「事を起こす前によく考え、準備や段取りが重要ですよ」と、ほぼ同じことをいっています。このことを端的に表す話が孫子の兵法に収録されています。

 斉の将軍田忌は、斉の公子たちと競馬を行ったそうです。そのときの状況は、次のようなものでした。

  • この競馬は、自分の馬と相手の馬で1頭ずつ一騎打ちの形式で競争する
  • 田忌将軍と相手の公子は、それぞれ3頭の馬を持ち込んでいた
  • 田忌、公子それぞれ3頭の馬の速さはほぼ互角で、下記のような構成だった

 ・ほかの2頭より速い馬

 ・ほかの2頭より遅い馬

 ・中くらいの速さの馬


 つまり戦力はほぼ互角で、勝ったり負けたりと勝負は「時の運」といった状況でした。そのとき、孫子は田忌に次のようなアドバイスをしました

「相手の中くらいの速さの馬に、将軍の速い馬を当てる」

「相手の遅い馬に、将軍の中くらいの速さの馬を当てる」

「相手の速い馬に、将軍の遅い馬を当てる」

 これにより、2勝1敗で田忌は常に勝ち越しとすることができたそうです。

 勝負としては互角で、どちらが勝つかは微妙なところだったはずです。これに対し孫子は、相手の戦力と自らの戦力を分析し、勝つためにはどのような戦い方があるかを考えてそれを実行したということです。まさに「敗者は戦って後、勝ちを求める」「勝者は勝って後、戦いを求める」であり、「敵を知り己を知って戦わば百戦これ危うからず」という例ではないでしょうか。

 “孫子の兵法”というと堅いイメージや難解なイメージがあるかもしれませんが、解説が付いて読みやすい書籍もありますので、一度読んでみてはいかがでしょう。


著者紹介

▼著者名 秋池 治(あきいけ おさむ)

株式会社リアルナレッジ 代表取締役

横浜国立大学卒。メーカー系情報システム会社にてシステム企画とシステム開発に従事。その後、ユーザー系企業でデジタルビジネスの企画および社内改革に取り組む。2003年に数名の仲間と共に株式会社リアルナレッジを設立、業務プロセスの可視化やプロセスの最適化により、経験や勘に依存せず業務を遂行するためのパフォーマンスサポートを提供している。

著書に「情報エキスパート」(アプライドナレッジ刊)がある。

e-mail:akiike@realknowledge.co.jp


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