──CAの戦略を構成する3つの分野の市場は、それぞれどのように進展してきていますか?
それぞれの分野にはそれぞれのマーケット・ダイナミクスがありますし、各国で成熟度の違いもあります。しかし、リカバリ・マネジメントは最も成熟しており、従ってこの市場の伸びは6〜10%と比較的低くなっています。成熟しているために、フェイルオーバーやCDPなど、高度な機能についての顧客の意識は高まっています。
リソース・マネジメント市場にもある程度の歴史がありますが、これまでの伸びは比較的緩やかでした。それが今、急速に伸びています。当社の製品でいえば100%以上の伸びを示しています。インフォメーション・マネジメントは比較的新しく、アーリー・アドプターの段階です。しかし、コンプライアンスや規制に関する意識が企業を後押しし、米国などではこうした製品が注目されています。
米国における当社の売上構成比は、リカバリ・マネジメントが60%、リソース・マネジメントが30%、インフォメーション・マネジメントは10%といったところです。これは米国市場の成熟度と一致していると思います。
──シマンテックやEMCといった競合他社に対して、どのように優位性を発揮していきますか?
当社の最大の市場であるリカバリ・マネジメント分野ではシマンテック(ベリタス)と激しく競合しています。リソース・マネジメントでは、EMCを含むハードウェアベンダは最大の競合になっています。インフォメーション・マネジメントではIBMやHPといったところと競合することが多くなっています。ライフサイクル・マネジメントやインフォメーション・マネジメントはサービスの色彩が強く、彼らは大規模なサービス組織を持っているためです。インフォメーション・マネジメントには電子メールアーカイブも含まれますが、これはリソース・マネジメントの要素が強くなります。ここではシマンテックの「KVS」と競合することがよくあります。
いずれにしろライバル企業で、当社が持つすべてのソリューションにわたって競合できるところはありません。特にEMCやシマンテックはレコード・マネジメント製品を持っていません。EMCにはもちろんDocumentumがありますが、これはレコード・マネジメント製品とはいえません。Documentumの顧客で当社のレコード・マネジメント製品を使ってくれているところもあります。
つまり、3分野のそれぞれに対してソリューションを提供することができ、ハードウェアベンダでないためハードウェアに依存せず、コンテントマネジメントのベンダではないためデータタイプにもこだわらず、UNIX、Linux、PC、メインフレームなどプラットフォームからも独立していることが当社の優位性です。さらにこれらを高い品質で提供していきたいと思っています。
──日本での戦略はどのように考えていますか?
日本の市場における当社のバックアップ製品のマーケットシェアは非常に高く、これを守っていきたいというのが1つです。そしてバックアップ製品の顧客に、当社の持つほかの製品も買ってもらいたいと思います。日本の顧客を訪ねると、顧客は継続して当社と付き合っていきたいと考えており、当社に対して今後も品質の向上を望んでいることがよく分かります。
──日本市場における優先順位はどのようになるのでしょう。
リカバリ・マネジメントの優先順位が一番高いです。ARCserveは非常に大きなインストールベースがあり、強力なパートナーもいます。そしてパートナーは、当社のレプリケーションやCDPなど、リカバリ・マネジメント分野における新製品に、非常に強い関心を持っています。
インフォメーション・マネジメント分野については、規制やコンプライアンスに対する意識の高まりにつれ、日本における当社のパートナーの間で、この分野の製品を将来的な製品提供計画に加える動きが出てこようとしています。パートナーはこの分野に興味を持っていて検討しているものの、まだこの分野のニーズにどう応えるべきかを考えている段階です。しかし、パートナーがコンプライアンスに関する理解を深めるのを助けるとともに、顧客を啓蒙する手助けをすることは重要だと思っています。米国企業の経験や、米国企業の犯した過ちを知ることは、現時点でも日本の顧客にとってメリットが高いと考えます。
▼著者名 三木 泉
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