
毎月の勤怠集計や打刻のチェックで、時間や手間がかかって困った経験はないでしょうか。直行直帰や出張などのほか、近年はテレワーク・自宅勤務をはじめとする“働き方の多様化”も求められる中で、「どうやって出退勤を正しく集計し、管理するか」が大きな課題になりつつあります。そんなとき役立つのが、パソコンやスマートフォンから手軽に使えるWeb打刻ツールです。紙のタイムカードや手作業の多いExcel管理から切り替えることで、リアルタイムで勤怠状況を把握しやすく、また不正やミスも防ぎやすくなることから導入する企業が増えています。
この記事では、Web打刻の仕組みとメリット、他の管理方法との違い、導入時の注意点まで、今知っておきたい「勤怠管理DX」のポイントをまとめて紹介します。
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目次
Web打刻とは?
Web打刻とは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどを使い、インターネット経由で出退勤時刻を記録できる仕組みです。従業員は必ずしもオフィスにいなくても打刻でき、リモートワークや外回り、直行直帰などの多様な働き方にも柔軟に対応しやすいのが特長です。会社としても、従来のタイムカードやExcel管理などと比べて、勤怠情報を即時集約でき、また状況をリアルタイムに可視化できることが大きなポイントとなっています。
Web打刻の仕組みを理解する
Web打刻の基本的な流れは、従業員が専用のWebページやアプリにアクセスし、IDとパスワードでログインした後、「出勤」「退勤」などのボタンをクリックまたはタップするだけで記録が完了します。
この打刻情報は即時にクラウド上へ送信され、自動的に集計されるため、管理者は出退勤や残業、休憩などの情報をリアルタイムで確認できます。
さらに近年のWeb打刻システムでは、GPS機能やIPアドレス制限、生体認証などの機能も活用し、「誰が」「どこで」「いつ」打刻したのかもより正しく、客観的に記録できるようにもなっています。これにより、オフィス外での勤務実態も正確に把握でき、また、不正打刻の抑止にもつながります。
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従来の勤怠記録・管理方法との違い
従来のタイムカードやExcel管理では、次のような課題が生じやすい状況でした。
- タイムカードは手作業による集計や目視確認が必要で、転記ミスや計算ミス、打刻漏れが起こりやすい
- Excel管理も、従業員自身による手入力が中心となり、入力ミスや意図的な改ざんが生じやすい
- 代理打刻(なりすまし)が防ぎにくいため、不正の温床になることがある
これに対してWeb打刻は、打刻から集計、データ連携までをすべて自動化し、人為的なミスや不正打刻のリスクを大幅に減らせます。個人認証やGPS、IPアドレス制限などの機能により、従業員の実際の働き方を客観的に証明できることも大きな違いです。
勤怠管理手法別 比較表
| 比較項目 | Web打刻 | 紙のタイムカード | Excel管理 |
| 正確性 | ◎ リアルタイムで自動記録 | △ 打刻ミスや手計算ミスが発生 | △ 手入力ミス・改ざんリスク |
| 管理工数 | ◎ 自動化で負担が軽減 | × 手作業多く、負担が大きい | × 入力・集計作業が多い |
| 不正防止 | ◎ 個人認証やGPSで抑制可能 | × 代理打刻など防止が難しい | × データ改ざんが容易 |
| 柔軟な働き方対応 | ◎ 場所を問わず打刻可能 | × 決まった場所でしか打刻できない | △ 共有・運用に手間 |
| 法令順守 | ◎ 残業アラート等で違反を防げる | △ リアルタイム把握困難 | △ 手動管理で違反リスク |
Web打刻の導入が向く企業
Web打刻は、特定の業種に限らず多くの企業で効果を発揮しますが、とくに以下のような企業には導入のメリットが大きいでしょう。
また、拠点数が多い、従業員数が多い、勤務形態が複雑な会社では、Web打刻によって勤怠管理が大きく効率化されるはずです。
おすすめの業種・企業例
- オフィスワーク中心の企業や、在宅勤務・外回りが多い営業組織
→フレックスタイム制や直行直帰が多い職種でも、場所を問わず正確に出退勤を管理できます。 - シフト制を採用している店舗やコールセンター、医療・介護現場
→複数の勤務形態や雇用形態が混在する現場でも、シフト管理機能と連携して業務を効率化できます。 - 成長中で従業員数が増加している企業
→事業拡大に伴い勤怠管理が複雑化する場面でも、システム導入で早めに業務負担を抑えられます。
導入を慎重に考えたいケース
- ネット環境が安定しない場所での勤務が多い企業
→山間部や地下、運転・高速移動が続く、海洋などでの業務がある、あるいは海外拠点など、適切な通信環境を確保しにくいシーンも意外と多くあります。リアルタイム打刻が難しい場合は、オフライン対応の有無や運用方法を事前に確認してください。 - コストやITリテラシーが大きな課題となる場合
→PCやスマホに慣れていない従業員が多い環境で定着まで時間がかかる可能性があります。無理矢理デジタル化を強いるのは逆効果になる可能性もあります。 - 少人数で管理がシンプルな場合
→従業員1〜2人ほどのシーンでは、手作業の方が早く割安な場合もあります。ただし法令順守の観点では「コツ」「カン」「それなりに」のようなあいまいな対策ではなく、システムで対策・解決することが推奨されます。
Web打刻対応の勤怠管理システムで実現できること
Web打刻対応の勤怠管理システムを導入することで、現場の従業員からバックオフィスまで幅広いメリットがあります。勤怠管理の“見える化”や、働き方の多様化への対応、労務リスク低減など、多くの課題をまとめて解決しやすくなります。
リアルタイムで勤怠状況を把握できる
システムを導入することで、出退勤データが即時に反映されるため、勤怠状況の“見える化”が実現します。管理者はダッシュボードで従業員ごとの状況をすぐに確認でき、残業が増えている従業員への声掛けや、シフト変更などにも迅速に対応しやすくなります。
多様な働き方への柔軟な対応
- 在宅勤務の場合、自宅のパソコンやスマートフォンから簡単に打刻が可能です。
- 外出や出張時もスマートフォンのGPS機能で、どこから打刻したかを記録できるため、移動の多い職種でも安心して活用できます。
- 複数拠点を持つ企業も、本社で一括管理できるため、各事業所の情報がばらつく心配がありません。
さらに、フレックスタイム制や変形労働時間制、裁量労働制など、さまざまな就業規則にも柔軟に対応できます。
複雑な勤怠ルールも、システム設定で自動的に運用できるため、手作業では難しい管理もスムーズに進められます。
Web打刻システム導入のメリット
Web打刻システムには、企業や従業員の業務負担を減らし、効率や正確性を高める多くのメリットがあります。ここでは代表的なポイントを分かりやすく紹介します。
- 手間やミスを減らせる
- 不正打刻や改ざんの防止につながる
- 労務リスクの低減、法令に正しく対応できる
- コストダウンと効率化が期待できる
- 働き方改革やDX推進のきっかけになる
手間やミスを減らせる
Web打刻システムを導入すると、これまでタイムカードやExcelで発生していた煩雑な集計作業や転記作業が自動化されます。そのため、人為的なミスや入力漏れ、集計間違いなどが発生しにくくなります。
これまで毎月の締め作業やチェックに多くの時間を取られていた人事・労務担当者も、より効率的に勤怠管理を進めることができるでしょう。結果として、シンプルな操作だけで勤怠情報を正確に管理でき、担当者の業務負担を大幅に減らせます。
不正打刻や改ざんの防止につなげやすい
Web打刻システムでは、従業員一人ひとりに個別のIDやパスワードが発行されます。また、GPSやIPアドレス、さらには顔認証やICカード認証といった多様な認証方法が利用できるため、代理打刻や不正な改ざんを抑止しやすくなります。
打刻した場所や時間が客観的なデータとして記録されるため、管理側も安心して勤怠情報を確認できます。不正リスクを減らすことで、企業全体のコンプライアンス強化にも役立つでしょう。
労務リスクの低減と法令対応がしやすくなる
Web打刻システムには、労働時間の上限管理や有給休暇の自動管理など、最新の法令に合わせた多様な機能が備わっています。
たとえば、残業が規定を超えそうな場合には、従業員と管理者双方にアラートを出して注意を促すことができます。有給休暇の取得義務についてもシステムで自動的に管理でき、法律違反を未然に防ぐことが可能です。
また、法改正があった場合でも、クラウド型のシステムであればツール側が適宜アップデートを行ってくれるため、常に最新の法令・ルールに沿った運用が実現できます。
コストダウンや効率化が期待できる
Web打刻を導入することで最も大きいのは、人事や労務部門の工数削減による人件費のカットです。
勤怠データと給与システムの自動連携により転記・二重入力のような手間がなくなり、最初から「データ化」されているのでその後の給与計算業務なども効率化されます。
ツールの利用には、導入費用・月額費用のコストが発生します。しかし、長期的には全体のコストを抑えられる可能性が高まります。上記の人件費のほか、タイムカード用紙やインクリボン、専用機器などの消耗品コスト、タイムレコーダーの購入や保守にかかる費用、法で定められている記録書類を保管しておく設備やスペースなども削減できます。
働き方改革やDX推進のきっかけになる
Web打刻システムの導入は、単なる業務の効率化だけでなく、企業文化の変革やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にもつながります。場所や時間に縛られない柔軟な働き方を支えることで、従業員一人ひとりのワークライフバランスが向上し、組織の生産性も高まります。
勤怠管理のペーパーレス化は、会社全体のデジタル化推進や、他の業務領域へのIT活用にも良い影響を与えるはずです。こうした環境整備によって、今後の事業成長や人材の定着にも良い循環が生まれるでしょう。
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Web打刻のデメリットと注意点
便利なWeb打刻ですが、導入前に注意すべきポイントもいくつかあります。あらかじめリスクや課題を把握し、事前に準備しておくことで失敗を防げます。
導入・運用コストが発生する
多くのWeb打刻システムでは、初期費用や月額料金が必要になるケースがあります。無料プランを用意しているサービスもありますが、使える機能や登録できる人数に制限がある場合が多いので、コストだけでなく導入後のリターンや工数削減効果を総合的に考えて検討しましょう。
インターネットや端末が不可欠になる
Web打刻は、オンライン環境とPCやスマートフォンなどの端末が必須です。
通信障害やネットワークが不安定な場合には、事後的に管理者が修正入力するなど、トラブル時の運用ルールをあらかじめ定めておくと安心です。
セキュリティや情報管理に気を配る必要がある
クラウド上で勤怠データを管理するため、情報漏洩や不正アクセスのリスクには注意が必要です。
システムの選定時には、データ暗号化やバックアップ体制、不正アクセス検知の仕組み、「プライバシーマーク」や「ISMS(ISO 27001)」といった第三者認証の有無なども確認しましょう。
また、社内でのパスワード管理やモバイル端末利用のルールも徹底してください。
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Web打刻対応の勤怠管理システムの選び方
Web打刻システムを選ぶときは、料金や機能だけでなく、自社の働き方や解決したい課題に合ったものかどうかを重視してください。
比較する際の主なポイントをまとめます。
比較検討に向けた主なチェック項目
- 対応打刻方法:PCやスマホ、ICカード、QRコード、チャットツール連携、生体認証など、自社の働き方に合ったものを選べるか
- 料金体系・無料トライアルの有無:初期費用や月額料金、従業員数による課金、無料トライアルで実際に試せるか
- 勤怠以外の機能:シフト作成・管理、休暇申請ワークフロー、経費精算など周辺業務にも対応しているか
- アラートや自動集計、給与システム連携:残業アラートやAPI連携など、効率化につながる機能があるか
- サポート体制とセキュリティ機能:導入時のサポート、運用後の問い合わせ対応、データの暗号化や第三者認証の有無
- カスタマイズ性:自社独自の就業規則や制度に柔軟に対応できるか
「無料版あり」Web打刻に対応する勤怠管理システム13選
Web打刻システムはかなり多くの製品/サービスがあるため、そしてコストも発生するため、まず何をどのように検討すればよいのかで迷ってしまうかもしません。
そんな方へ、選定計画をグッと楽に、スピーディーに、確実に進めていく方法、それが「無料トライアル」を遠慮なく活用することです。一定期間無料で試用できる無料トライアル版を用意する製品を軸に、どんな機能があるのか、どう活用できそうかといった自社の要件に合っているかどうかを「お試し」してみてはいかがでしょう。実際に試すことで「イメージと違った」「従業員がうまく使えなかった」といった失敗も防げることでしょう。
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