
CRMを導入し顧客データは蓄積されたものの、「具体的にどう分析し、売上向上に繋げれば良いか分からない」と悩んでいませんか。データは活用してこそ価値を生みます。その鍵となるのが、顧客を深く理解して適切なアプローチを導き出すCRM分析です。
CRM分析を実践することで、優良顧客の特定や解約予備軍の察知、効果的なマーケティング施策の立案が可能になります。しかし、その手法は多岐にわたるため、自社の目的に合ったものを選ぶことが重要です。
本記事では、CRM分析の基本から、RFM分析やLTV分析といった代表的な9つの手法、そして分析を成功に導くための具体的なポイントまでを網羅的に解説します。併せて、顧客分析機能に強みを持つおすすめのCRM製品/複合型ツール(全15製品/2025年10月時点)も紹介します。自社に最適な分析手法とツール選定のヒントがきっと見つかるはずです。
目次
CRM分析とは? 顧客を深く理解し、LTVを最大化する手法分析の基礎知識
CRM分析とは、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)ツールに蓄積された顧客データを多角的に分析し、顧客一人ひとりへの理解を深めることで、より効果的なマーケティング戦略や営業活動につなげるための一連の手法を指します。

基本的なことを教えてくれる?

ビジネス戦略を改善・高度化する手法よ。
顧客の行動や嗜好、購買履歴などを分析して、
各顧客に合わせたマーケティングやサービス戦略を立てるの。

適切な対応を取っていくために
欠かせないフローなんだね。
CRM分析で具体的に行うこと
具体的には、顧客の属性(年齢、性別、地域など)、購買履歴(購入日時、金額、頻度)、行動履歴(Webサイトの閲覧、問い合わせ履歴)といった情報を分析し、「どのような顧客が」「いつ」「何を」「なぜ」購入するのかといった情報(インサイト)を導き出します。
この分析を通じて、顧客との関係性を強化し、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を最大化させることが、CRM分析の最終的なゴールです。
一般的に、CRMでは下記のデータを収集して分析に用います。
- 企業や顧客単位の基礎情報
- 購入履歴
- 会社との接触、コミュニケーションの記録
- 関係性の状況(商談状況)
連携する目的のIT製品には「SFA(Sales Force Automation/営業支援システム」「MA(マーケティングオートメーション)」などもあります。CRMとSFA、それぞれの違いについてはこちらの記事を参照ください。
関連記事 「顧客管理」はなぜ営業活動に重要なのか?
【目的別】CRM分析の代表的な9つの手法
CRM分析には多様な手法が存在し、それぞれに得意なことや分析の切り口が異なります。「何を明らかにしたいのか」という目的に応じて、最適な手法を使い分けることが成功の鍵です。
ここでは、代表的な9つの分析手法を「顧客をグループ分けしたい」「優良顧客を見極めたい」「今後の施策のヒントを得たい」という3つの目的に分類して解説します。


行動トレンド分析、デシル分析、LTV分析、売上分析、
CPM分析などがあるわ。
それぞれ、顧客の属性や行動、購買履歴などをもとに
分類・分析して、効果的な戦略を立てるの。

戦略と使い分けも大事そうだね。
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【優良顧客を見極めたいなら】RFM分析
RFM分析は、顧客の購買行動から自社にとって価値の高い優良顧客を特定するための代表的な手法です。以下の3つの指標を組み合わせて顧客をランク付けします。
- Recency(最近いつ購入したか)
- Frequency(どれくらいの頻度で購入したか)
- Monetary(合計でいくら購入したか)
この分析により、「優良顧客」「離反予備軍」「新規顧客」といった顧客グループを明確化し、それぞれのグループに適したアプローチ(例:優良顧客への限定特典、離反予備軍へのフォローアップ)を行うことが可能になります。
【優良顧客を見極めたいなら】デシル分析
デシル分析は、全顧客を購入金額の高い順に10等分し、各グループの購入金額や売上構成比を分析する手法です。「デシル」はラテン語で「10等分」を意味します。
この分析を行うことで、「売上の大部分を、どの顧客層が占めているのか」を可視化できます。例えば、上位2グループ(全顧客の20%)で売上全体の80%を占めているといった状況が分かれば、その優良顧客層にターゲットを絞った重点的なマーケティング施策を打つことができます。
【顧客をグループ分けしたいなら】セグメンテーション分析
セグメンテーション分析は、顧客を特定の属性や変数でグループ分けする手法です。一般的には、以下のような切り口が用いられます。
- 地理的変数: 国、地域、都市、気候など
- 人口動態変数: 年齢、性別、職業、所得、ライフステージなど
- 心理的変数: ライフスタイル、価値観、性格など
- 行動変数: 購買履歴、利用頻度、Webサイトの閲覧履歴など
顧客を細分化することで、各セグメントのニーズや特徴を深く理解し、それぞれのグループに響くメッセージや製品開発、プロモーション活動を展開できます。
【顧客をグループ分けしたいなら】クラスター分析
クラスター分析は、異なる性質のものが混在するデータの中から、類似性の高いものを集めてグループ(クラスター)を作成する手法です。セグメンテーション分析では分析者が切り口を決めましたが、クラスター分析はデータに基づいて自動的に顧客をグループ分けします。
これにより、年齢や性別といった既存の属性だけでは見えてこなかった、顧客の潜在的な共通点(例:「週末にまとめ買いをする都心在住の30代」など)を発見します。新たなターゲット層を見つけ出すのに役立ちます。
【今後の施策のヒントを得たいなら】CTB分析
CTB分析は、以下の3つの指標で顧客を分類し、今後の購買傾向を予測する手法です。特にアパレルや雑貨など、品揃えが豊富な業界で活用されます。
- Category(カテゴリ):どの商品カテゴリを購入したか
- Taste(テイスト):どのようなデザインや色、サイズを好むか
- Brand(ブランド):どのブランドを好むか
顧客の好みを詳細に分析することで、「このブランドが好きな顧客は、次はこのカテゴリの商品にも興味を持つかもしれない」といった仮説を立て、クロスセルやアップセルに繋がる効果的なレコメーションが可能になります。
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【今後の施策のヒントを得たいなら】行動トレンド分析
行動トレンド分析は、特定の期間における顧客の購買行動やサービス利用の変化を時系列で分析する手法です。
季節ごとの売れ筋商品の変動や、キャンペーン実施後の顧客の反応などを把握することができます。この分析により、需要のピークを予測して在庫を最適化したり、プロモーションのタイミングを最適化したりといった、データに基づいた戦略的な意思決定が可能になります。
【優良顧客を見極めたいなら】LTV分析
LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)分析は、一人の顧客が取引を開始してから終了するまでの期間にもたらす利益の総額を分析する手法です。
LTVを算出することで、短期的な売上だけでなく、長期的な視点で顧客の価値を評価できます。LTVが高い顧客層を特定し、その顧客がどのような経緯でファンになったのかを分析することで、優良顧客を育成するための効果的な施策が見えてきます。
【今後の施策のヒントを得たいなら】特定因子分析
特定因子分析は、特定の結果(購入や解約など)に影響を与える因子(要因)を統計的に明らかにする手法です。
例えば、「商品を購入した顧客」と「購入しなかった顧客」の行動データを比較し、「Webサイトの閲覧ページ数」や「メールマガジンの開封率」といった因子が購入にどれだけ影響しているかを分析します。これにより具体的には、コンバージョン率を高めるための具体的な改善点(例:特定のページのコンテンツを充実させる)を特定できます。
【今後の施策のヒントを得たいなら】決定木分析(ディシジョンツリー)
決定木分析は、ある目的(例:購入の有無)に対して、データを条件分岐させながら段階的に分析し、その結果を樹形図(ツリー構造)で示す手法です。
「この顧客は購入するか?」という問いに対し、「最初にAの商品ページを見たか?(Yes/No)」「次にBのメルマガを開封したか?(Yes/No)」といった形で質問を繰り返しながら顧客を分類していきます。これにより、顧客の行動パターンや意思決定のプロセスを可視化し、マーケティング施策のシナリオ設計などに役立てることができます。
CPM分析
CPMとは、「Customer Portfolio Management」の略称で、顧客データ(Customer Portfolio)を分析、分類し、その顧客に合わせた顧客育成を行うことを指します。CPM分析をすることによって、顧客に応じた最適なアプローチを選ぶことが可能になるため、リピーター獲得のためのマーケティング戦略に役立ちます。
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