企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)において、顧客接点のデジタル化は最優先課題の1つです。従来のExcelをはじめとする手作業が多い管理工程に限界を感じ、クラウド型CRM(顧客関係管理)への移行を検討する企業が増えています。
本記事では、2026年以降に予定される個人情報保護法の見直しや最新のAIトレンドを踏まえ、今選ぶべきクラウドCRMについて解説します。主要18製品の比較とともに、自社に最適なツールを見極めるための選定基準を整理しました。
目次
この記事のポイント
- クラウドCRMの進化: 単なる顧客データ管理から、AIによる予測分析や自動化を伴う戦略プラットフォームへ進化しています。
- 2026年法令対応: 個人情報保護法の「3年ごと見直し」やセキュリティ基準の強化への対応も選定の必要条件となります。
- メリットの最大化: 営業・マーケ・サポートの部門間連携を強め、顧客体験(CX)を向上させることでLTVを最大化します。
- 製品選定の軸: 自社の業務フローとの整合性に加え、スケーラビリティやモバイルインタフェースの使いやすさが鍵です。
顧客体験の“深化”が求められる2026年以降のビジネス環境
ビジネスのデジタル化が加速する中で、顧客管理のあり方は劇的な転換期を迎えています。特に2026年以降、企業には「単なる情報の記録」を超えた、高度なデータ活用と厳格なガバナンスが求められるようになります。
2026年以降の法令改正とセキュリティ要件への対応
CRMを導入・運用する上で避けて通れないのが法規制への順守(コンプライアンス)です。
1. 個人情報保護法の「3年ごと見直し」への備え
日本の個人情報保護法は概ね3年ごとの見直しが検討される仕組みとなっています。直近では2024年以降、次期改正を見据えた制度的な議論が進められており、今後の改正内容や運用方針が段階的に整理されていくと考えられます。
現行法においても、顧客データの取り扱いに関する透明性の確保や本人からの開示・訂正・利用停止などの権利行使に対し、適切かつ迅速に対応できる体制整備が企業に求められます。
クラウドCRMは、こうした法的要請を踏まえた基本的なセキュリティ対策や安全管理措置を、“ベンダー側”が自動アップデートなどで対応する点が特徴です。自社で法令への対応を含めたシステム改修を行う必要があるオンプレミス型と比べ、法改正への追随コストや運用負荷を抑えやすいことは利点といえるでしょう。
ただし、最終的な個人情報管理責任は利用企業、つまり自社にあります。法令の理解、運用設計や社内ルール整備と併せた対応は不可欠です。
2. セキュリティ基準の高度化とガバナンス
経済安全保障推進法の施行や、政府による「ガバメントクラウド」への移行方針を背景に、企業のクラウド利用においてもセキュリティ水準を重視する姿勢が強まっています。特に、政府調達向けのクラウドサービス評価制度であるISMAPは、直接的な義務ではないものの、セキュリティ対策の成熟度を測る1つの指標として、民間企業からも注目されるようになっています。
また、サプライチェーン全体でのリスク管理が重要視される中、今後はCRMを含む業務システムの選定においても、多要素認証や詳細なアクセス権限管理といった基本的なセキュリティ機能を備えているかどうかが、実務上の重要な判断材料となっていくと考えられます。
クラウドCRMが実現する「データドリブンな顧客経営」とは
CRMは「Customer Relationship Management」の略称であり、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。顧客の名刺情報や取引履歴を保存するデータベース的な印象を持つ人も多いと思います。しかし昨今のCRMは「顧客理解を深め、最適な体験を提供するためのインフラ」に役割が変わったと言えます。
属人化を排除し、データを組織の資産に変える
多くの企業で課題となっているのが、担当者のPC内や頭の中にだけ情報がとどまる「属人化」です。
クラウドCRMを導入することで、全ての顧客接点をリアルタイムで一元管理できるようになります。これにより、担当者が不在でも適切なフォローアップが可能となり、商談の進ちょくを可視化することでマネージャーなど管理者による的確なPDCAサイクルを回す体制づくりなども支援します。
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クラウドCRMで競争優位性を確立する6つの具体的効果
クラウドCRMを導入することで、組織は以下のような強力なメリットを享受できます。
- 営業プロセスの可視化と成約率の向上を実現する
- AIによる予測分析で最適なアクションを提案できる
- マーケティング施策のパーソナライズを加速する
- 顧客対応の質が高まる
- リモートワークを支援し柔軟な働き方を実現する
- ITコストの最適化とスケーラビリティを確保する
営業プロセスの可視化と成約率の向上を実現する
全ての商談履歴を可視化することで、受注に至る「勝ちパターン」を分析できます。仮に経験の浅い若手でも、CRMに蓄積されたベストプラクティスを参照しながら適切なタイミングで提案を行えるようになります。
AIによる予測分析で最適なアクションを提案できる
2026年のトレンドとして欠かせないのが、生成AIとの連携です。顧客の行動データから「成約可能性の高い見込み客(リード)」を自動で抽出し、最適なアプローチ手法をAIが助言します。
マーケティング施策のパーソナライズを加速する
顧客属性や購買履歴に基づき、一人ひとりに合わせたメール配信やコンテンツ提供が可能になります。画一的な一斉配信ではなく、パーソナライズされた行動喚起ポイント(CTA)を的確に提供することで、さらなる顧客満足度(CS)の向上につながります。
部門をまたいだ情報共有で顧客対応の質を高める
営業、マーケティング、カスタマーサポートが同一で唯一、最新のデータを参照する体制により、二重の問い合わせや情報の不整合を防ぎます。顧客にとっては、どの窓口に連絡しても「自分のことを理解してくれている」という安心感につながります。
リモートワークを支援し柔軟な働き方を実現する
クラウド型ツールは、ネット環境と適当な表示デバイスがあればいつでもどこでもアクセスが可能です。例えば移動中、あるいは在宅勤務時でも即座に日報入力やデータ確認が行え、業務効率化を促進します。
ITコストの最適化とスケーラビリティを確保する
クラウド型サービスは、自社でサーバやインフラを保有する必要がないため、初期費用を抑えられます。事業規模の拡大に合わせてライセンス数を柔軟に変更できるため、成長企業のニーズにも即座に対応できます。
2026年以降のクラウドCRM選定基準:AI性能と法令コンプライアンス
CRMの製品数は非常に多く、自社に適したものを選ぶのは容易ではありません。以下の4つのポイントを基準に検討を進めましょう。
- 自社の業務フローとの親和性とカスタマイズ性
- 外部システムとの連携実績
- モバイル環境での操作性とインタフェース
- 法令順守を支えるセキュリティ体制
自社の業務フローとの親和性とカスタマイズ性
多機能な製品ほど使いこなすのが難しくなります。まずは自社の営業プロセスを整理し、それに対応できる柔軟性があるかを確認しましょう。
またさらなるスピード感を求め、IT部門や外注ベンダーなどに頼らずとも、業務部門単位で設定変更やカスタマイズができる(自分らでカバーできる)「ノーコード・ローコード」的な機能、利便性もより強く求められるようになるでしょう。
外部システムとの連携実績
CRMは、SFA(営業支援)やERP(基幹業務)、MA(マーケティングオートメーション)ツールとの連携が不可欠です。APIが公開されているか、標準的なコネクターが用意されているか、業務で用いているAIツールとの親和性も併せて事前に、複合的にチェックしましょう。
モバイル環境での操作性とインタフェース
現場の営業担当者が外出先、作業用PC問わず「ストレスなく入力できる」ことがデータ蓄積の成否を分けます。モバイルアプリの有無、直感的に操作できるデザイン(UI)・操作性は忘れずにチェックするようにしましょう。
法令順守を支えるセキュリティ体制
前述の2026年以降の視点、課題を見据え、データの暗号化、IPアドレス制限、操作ログの記録、そしてベンダー側の法改正への対応方針を確認してください。国内のプライバシーマークやISO27001の取得状況も1つの指標となります。
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