「社内でいくつのSaaSを契約しているか、IT部門でも把握しきれていない」「退職者のアカウントが残ったまま料金が発生し続けていることに気づかなかった」――こうした課題は、SaaSの利用が増加した企業のIT・情報システム部門に共通しています。SaaS管理ツールを導入すれば、社内のSaaS利用全体を可視化でき、IT投資の最適化と情報セキュリティリスクの低減が実現します。本記事では、ツールの役割、導入メリット、注意点、選定基準を解説します。
この記事のポイント
- SaaS管理ツールとは: 社内で利用する複数のSaaSの契約状況やライセンス数、利用実績、コストを一元的に可視化・管理するソフトウェアです。
- 導入のメリット: 未使用ライセンスの検出によるコスト削減、シャドーITの把握によるセキュリティリスク低減、更新管理の自動化が実現します。
- 導入時の注意点: 各SaaSとのAPIやSSO連携設定に工数がかかるため、利用データだけでなく現場への確認も組み合わせる必要があります。
- ツール選定の基準: 主要SaaSとの連携対応状況やシャドーIT検出の方式、未使用ライセンス検出の精度が重要です。分からなければ「専門家に聞く」手段もあります。
目次
SaaS管理ツールとは
社内で利用している複数のSaaSアプリケーションの契約状況・ライセンス数・利用実績・コストを一元的に可視化・管理するソフトウェアです。未使用ライセンスの検出や重複契約の特定により、SaaS費用の無駄を削減し、ガバナンスを強化します。
定義と基本機能
基本機能は、SaaS契約の一覧管理(ツール名・契約プラン・ライセンス数・コスト・更新日)、実際の利用状況の収集(シングルサインオン(SSO)連携や利用ログの取得)、未使用・低利用ライセンスの検出、シャドーIT(未許可のSaaS)の把握、コスト分析・レポートです。
SaaS管理ツールとIT資産管理の違い
IT資産管理はオンプレミスのハードウェア・ソフトウェアの資産管理が主な対象ですが、SaaS管理ツールはクラウドベースのサブスクリプションサービスの管理に特化しています。APIやSSOとの連携により、実際の利用状況を自動収集できる点が特徴です。
なぜ今必要とされるのか
企業のSaaS利用数は急増しており、中規模企業でも数十から数百のSaaSを利用しているケースが珍しくありません。契約の更新管理を手動で行う限界を超えており、IT予算の30〜40%が未使用ライセンスに無駄使いされているという調査結果もあります。また、従業員が部門単位でITの承認なしにSaaSを契約するシャドーITが情報セキュリティリスクを高めています。
SaaS管理ツールのメリット・デメリット
SaaS管理ツールの導入により、IT投資の最適化とセキュリティリスク低減が期待できますが、SaaSとの連携設定に工数がかかります。
導入メリット
主なメリットは、SaaSコストの削減、セキュリティリスクの低減、IT調達のガバナンス強化です。
未使用ライセンスを検出してコストを削減できる
各SaaSの実際の利用状況(最終ログイン日・利用頻度など)を収集し、90日以上未使用のアカウントや、ライセンス数に対して実際の利用者数が大幅に少ないSaaSを特定できます。これらを解約・ダウングレードするだけで、SaaS費用の10〜30%削減を実現した事例があります。
シャドーITを把握してセキュリティリスクを低減できる
SSO経由のログインを監視することで、IT部門が把握していない未承認のSaaS(シャドーIT)を検出できます。機密データが管理外のSaaSに保存されるリスクを早期に発見し、情報セキュリティポリシーへの準拠を管理できます。
SaaSの更新管理を自動化できる
各SaaSの契約更新日をシステムで管理し、更新前の一定期間にアラートを送信します。不要なSaaSの自動更新を防止し、価格交渉や乗り換えの検討をタイムリーに行えます。
デメリット・注意点
SaaS管理ツールの効果は、各SaaSとの連携状況に大きく依存します。
各SaaSとの連携設定に工数がかかる
利用実績を正確に収集するには、主要なSaaSとのAPI連携またはSSO連携の設定が必要です。SaaS数が多いほど連携設定の工数が増え、一部のSaaSは連携に対応していない場合もあります。
利用状況データだけでは判断できないケースがある
ログイン頻度が低くても重要な用途で使われているSaaSもあります。未使用ライセンスの判定は、利用データと現場への確認を組み合わせて行うことが重要です。
SaaS管理ツールの主な機能
製品選定にあたり確認すべき主要機能を整理します。
SaaS一覧管理・台帳機能
社内で利用しているSaaSの契約情報(ツール名・ベンダー・プラン・ライセンス数・年間コスト・更新日・担当者)を一元管理する機能です。手動登録だけでなく、クレジットカード明細の取り込みにより自動的にSaaSを検出できる製品もあります。
利用状況収集・未使用検出機能
SSO(Okta・Microsoft Entra IDなど)やSaaSのAPIと連携し、各ユーザーの利用頻度・最終ログイン日を自動収集する機能です。未使用・低利用アカウントのリストを自動生成し、ライセンス削減の候補として提示します。
コスト分析・ROI評価機能
SaaS費用を部門別・用途別・ツール別に集計し、費用対効果を可視化する機能です。ベンチマーク機能(同規模企業の平均契約価格との比較)を持つ製品では、価格交渉の根拠データとして活用できます。
SaaS管理ツールの選定で確認すべき3つのポイント
自社で利用する主要SaaSとのAPI・SSO連携可否、シャドーIT検出の精度と方式、そして未使用ライセンス検出のアルゴリズムの透明性の3点を確認してください。
主要SaaSとの連携対応状況
自社で利用しているSalesforce・Slack・Google Workspace・Microsoft 365などの主要SaaSとの連携が標準で用意されているかを確認します。連携できないSaaSはコスト・利用状況の把握が不十分になります。
シャドーIT検出の方式
SSO未経由のログインを検出する方式や、クレジットカード明細を分析してSaaS支出を発見する方式など、製品によってシャドーIT検出の精度と方式が異なります。自社のIT環境に合った検出方式かを確認することが重要です。
未使用ライセンス検出の機能や精度
一定期間ログインしていないユーザーや利用頻度の低いライセンスを自動で検出し、削除やプラン見直しの候補として提示できるかを確認します。検出条件や判定基準が不明確な製品では、不要なライセンスの見落としや、必要なライセンスを誤って削減するリスクがあります。
よくある質問(FAQ)
“SaaS管理ツール”の導入検討において、ユーザーから多く寄せられる質問に回答します。
Q1. SaaS管理ツールとIT資産管理ツールの違いは何ですか
IT資産管理はオンプレミスのハードウェアやソフトウェアを対象とするのに対し、SaaS管理ツールはクラウドベースのサブスクリプションサービスに特化しています。APIやSSO連携により実際の利用状況を自動収集できる点が特徴です。
Q2. SaaS管理ツールでどのくらいコスト削減が見込めますか
未使用アカウントや利用頻度の低いライセンスを特定し解約・ダウングレードすることで、SaaS費用の10~30%削減を実現した事例が報告されています。
Q3. SaaS管理ツールはシャドーITをどのように検出しますか
SSO経由のログイン監視や、クレジットカード明細の分析によりIT部門が把握していない未承認のSaaS利用を検出する方式があります。自社のIT環境に合った検出方式かを確認することが重要です。
Q4. SaaS管理ツールは未使用ライセンスをどう判定していますか
最終ログイン日や利用頻度をもとに、一定期間ログインしていないアカウントを自動検出する製品が一般的です。ただしログイン頻度が低くても重要な用途で使われている場合もあるため、現場への確認も併せて行うことが重要です。
SaaS管理ツールで、IT投資の最適化とセキュリティガバナンスを強化する
SaaS管理ツールは、散在するSaaSの利用状況を一元的に可視化し、未使用ライセンスの削減・シャドーITの検出・更新管理の自動化によりIT投資の最適化と情報セキュリティリスクの低減を実現します。導入にあたっては、主要SaaSとの連携設定を優先し、段階的に管理対象のSaaSを拡大していくアプローチが定着の鍵です。
もし「自社に合うIT製品・サービスが分からない」「どう探せばよいのか分からない」とお困りでしたら、あるいは「おすすめ製品・ベンダーを紹介してほしい」「詳しい人に相談したい」のような希望がありましたら、適切なIT製品・サービス選定に詳しいIT専門スタッフに聞ける・相談できるITセレクトのコンシェルジュ相談サービスを用意しています。ぜひご利用ください。(無料です!)





