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» 2007年06月28日 16時01分 公開

デジモノ家電を読み解くキーワード:「地デジ時代のテレビ録画」――テレビとビデオの役割分担が変わる?

「テレビは視るものビデオは録るもの」という常識が変わりつつある。今回は、デジタル放送の普及にあわせ変貌するテレビ録画のあり方について考える。

[海上忍,ITmedia]

DVD/HDDレコーダーが売れない理由

 「地デジ」こと地上デジタル放送には、ノイズやゴーストの消滅など信号のデジタル化に伴う恩恵と、効率的なデータ送信の実現による映像の高精細化と多チャンネル化、データ放送や双方向通信といったサービスの向上など、さまざまな利点がある。2011年に従来のアナログ放送が停波するという後押しもあり、数年内にテレビ放送の主役になることは確実だ。

 一方、このところDVD/HDDレコーダーの販売が低迷している。需要が急増するオリンピックやワールドカップのような大イベントがないこともあるが、地デジのハイビジョン映像に見慣れた消費者がアナログ放送の映像品質には満足できなくなったから、という見方もある。不正コピー防止目的で採用されたCPRMの不便を指摘する声もあるが、おそらくそれだけでは説明不足で、ハイビジョン番組を録りためるには少ないHDD容量がDVD/HDDレコーダーの買い控えに拍車をかけているのが事の真相だろう。

HDDを搭載した薄型テレビが増加中

photo iVポケット

 そのような状況下、日立製作所から薄型テレビ「Wooo」の新型機が発売された。着脱可能なHDDユニット「iVDR」規格を利用した「iVポケット」を採用、デジタル放送録画用のメディアとして利用できることが特徴だ。iVポケットは別売りされるため、容量が不足すれば買い増しできる。

 4月には、東芝の液晶テレビ「REGZA」にHDD搭載モデルが追加された。HDD搭載機種は初ではなく、2006年10月発売のH2000シリーズにもHDDが搭載されていたが、今度のH3000シリーズでは増設用にeSATAインタフェースを装備。iVDRほどイージーではないものの、より安価にHDDを増設できることがウリだ。

録画はテレビで、ライブラリ化は次世代DVDレコーダーで

 テレビ側で録画が可能になった背景には、デジタル放送の普及がある。基本的にMPEG-2 TSストリームをそのままHDDに記録すればよく、従来のDVD/HDDレコーダーのように、アナログ信号をMPEG-2エンコードしたり、D/A変換したりなどの複雑な装置は必要ない。

 ということは、録画予約に適したEPGを利用できるテレビ側で録画を行い、映像のライブラリ化は次世代DVDレコーダーに任せたほうが効率的だと考えられる。Blu-RayとHD DVDが本格的に普及してからの話だろうが、一度見て消す番組はテレビ側で完結させ、ライブラリ化したい番組のみ次世代DVDレコーダーにムーブするという活用スタイルならば、2つのリモコンを相手に格闘したり、容量のかさばるハイビジョン映像の処理に困ったりすることもなくなることだろう。

執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)

ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。


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