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DLNA (2)――デジタル家電のホームネットワークデジモノ家電を読み解くキーワード

» 2007年07月19日 08時46分 公開
[海上忍,ITmedia]

基本はサーバー/クライアント

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 DLNAでは、異機種の接続を“つなぐだけ”で実現する。その中核となる技術が、Microsoftを中心に制定された「UPnP」(Universal Plug and Play)だ。

 ユーザー側から見たUPnPの特徴は、IPネットワークに接続できること、設定なしに通信を含めた各種機能が利用できること、有線/無線LANやIEEE 1394など幅広い通信機器をサポートすることの3点。DLNA 1.0では、そのうち物理層として有線LAN(Ethernet 10/100BASE-T)と無線LAN(IEEE 802.11a/b/g)をサポート、「DMS」と「DMP」の2種に分類される機器によりTCP/IP上を流れるHTTPプロトコルで通信を行う仕組みだ。

 そのDMS(Digital Media Server)は、コンテンツを他の機器に提供するサーバーとしての機能を果たす。一方のDMP(Digital Media Player)は、DMS上のコンテンツを再生するクライアントだ。DMSにはDVDレコーダーなど保存能力のある機器を、DMPにはテレビのように表示/再生能力を持つ機器を想像すれば理解しやすいだろう。

メディアフォーマットの定義

 対応するメディアフォーマット(コーデック)についても規定がある。動画や音声など、コンテンツの種類ごとに必須とオプションが決められ、DLNA 1.0ではJPEGやMPEG-2が必須とされた。

 さらに現行バージョンのDLNA 1.5では、固定型の機器と比べ再生能力に乏しいモバイル機器向けにコーデックを定義(下表)。DLNA 1.0ではDMSとDMPというシンプルな構成も、DLNA 1.5ではDMC(Digital Media Controller)やM-DMS(Mobile Digital Media Server)など、新たに10種が追加されている。

DLNA 1.5が対応するメディアフォーマット
種類 必須 オプション
一般向け動画 MPEG-2 MPEG-1、MPEG-4、WMV9
一般向け静止画 JPEG GIF、PNG、TIFF
一般向け音声 LPCM AAC、MP3、AC3、WMA9、ATRAC3plus
モバイル向け動画 MPEG-4 AVC/H.264 MPEG-2、MPEG-4、VC-1、H.263
モバイル向け静止画 JPEG GIF、PNG、TIFF
モバイル向け音声 MP3、MPEG-4 AAC LC MPEG-4 AE-AAC、MPEG-4 AAC

デジタル放送も共有可能

 DRNA 1.5におけるもう1つの変化が、DLNAリンクプロテクションガイドラインの設定。DTCP-IPを必須の、Windows Media DRM for Network Devices(WMDRM-ND)をオプションのDRMとしてサポート、プロテクトされたコンテンツが再生可能になった。

 DTCP-IPはデジタル放送の出力インタフェースとして承認されているので、DLNA 1.5準拠の機器を購入すれば、地デジなどコピーワンスの番組もネットワーク上で共有可能だ。社団法人電波産業会(ARIB)が定めた運用規定では、クライアントは最大8台、かつ同一のサブネットに限定されるが、対応機器が順調に増えればコピーワンスのコンテンツもかなり扱いやすくなることだろう。

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デジタル家電 | DLNA


執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)

ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。


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