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» 2008年07月28日 16時53分 公開

さらば赤外線?:リモコンの無線化(RF)を進める2つの技術 (2/2)

[芹澤隆徳,ITmedia]
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半年から1年は電池交換不要

 伝送速度や到達距離よりも気になるのは消費電力だろう。赤外線リモコンの置きかえを狙うのであれば、一度乾電池を入れたら半年や1年は普通に動かなければユーザーは納得しない。しかし、2つの技術は、ともに大容量伝送を必要としない用途に絞り込んで開発しているだけに心配はいらないようだ。

 まず、RF4CEが採用するIEEE 802.15.4だが、もともとビルなどに設置されるセンサーネットワークの置きかえを目指して開発された技術だけに、メンテナンスの手間を極力少なくする仕様になっている。対応チップを製造しているルネサステクノロジーによると、「リモコンのような用途では、電波を送信するときに電力を消費するだけで、あとはチップを休めておけばいい。おそらく半年から一年は電池を替える必要はない」という。「使用条件にもよるが、単三形乾電池で数カ月から数年の稼働が可能だ」。

photo ルネサステクノロジーのZigBeeチップ。すでに家電メーカーからRF4CEへの対応について複数の問い合わせが入っているという

 なお、IEEE 802.15.4ではスター型、ツリー型、メッシュ型といった複数のネットワークトポロジーをサポートしているが、RF4CEではシンプルな1対1、あるいはN対Nの接続だけをサポートする模様。煩雑になることを避ける意図もあるが、それ以上に「通信を仲介するようなデバイスは常に動いているため電力消費が多い」ためだ。

 一方の低エネルギーBluetoothでは、周波数ホッピングを通常の79チャンネルから40チャンネルに減らし、プロトコルもパケット量を必要最小限に抑える仕様になる。とにかくコントローラの負荷を減らし、消費電力を抑えるというアプローチだ。Bluetooth SIGのテクニカル・マーケティング・マネージャ日本担当を務める本保孝治氏によると、「消費電力は標準のBluetoothと比べて5分の1から10分の1。用途にもよるが、ボタン電池で1年間使えることを目指している」という。

どこまで高機能になるのか?

photo Bluetooth SIGのプレゼン資料には、リモコンのイメージとして米ロジテック(日本ではロジクール)の「Harmony」を挙げていた。マクロやPC連携など、高機能なリモコンを目指していることがうかがえる

 もう1つ気になるのは、無線化によってリモコンはどこまで高機能になるのか、という点だ。ただしRF4CEの場合、前述の見通し外操作と双方向通信、N対N形態の接続くらいしか情報がなく、詳細は今後の仕様策定を待たなければならない。仕様の策定が2008年後半には完了するというスケジュールのため、まずはシンプルに赤外線リモコンの置き替えを狙うのではないか、との観測もある。

 一方の低エネルギーBluetooth規格は、もう少し時間はかかるものの高機能化を前提に開発されている。本保氏によると、「現在はコア仕様を策定中。来年の半ばには仕様ができ、その後にプロファイルを作ることになる」というが、HID(キーボードやマウスといったヒューマンインタフェースデバイス)やリモートディスプレイ(時計を中心とする機器向け)など、リモコンにも関係するワーキンググループにも既に低エネルギーBluetoothを利用するためのサブワーキンググループができていることから、「プロファイルの策定作業も、ある程度は並行して進行するのではないか」(同氏)。

 さらに本保氏は、リモコンにBluetoothを利用するメリットとして、2種類のインプリメンテーションを挙げた。「1つは低エネルギーBluetoothだけを使ったシングルモード。もう1つは既にあるBluetooth規格も利用できるデュアルモード。デュアルモードなら、携帯電話など既存のBluetooth機器との相互運用も可能になる。もちろん消費電力は増えるが、ハブになる機器だけデュアルモードにすればいい」。

 例えば音楽を再生するとき。リモコンでプレーヤーを操作し、曲情報なども双方向通信のメリットを生かしてリモコンのディスプレイに表示する。と同時に、ポータブルプレーヤーからアンプに対してより高速なBluetooth規格を使って音楽ソースをストリーミング。デュアルモードなら、そうし機器間の連携も可能になるという。「方向性としては、単なる赤外線のリプレースではない。コンシューマーユーザーの利便性を高めるべきだと思う」(本保氏)

 シンプルな“置きかえ”か、利便性を追求した“高機能化”か。技術によってアプローチには差が出てくる可能性はあるが、いずれにしてもリモコンの無線化(RF)が家電分野の大きな流れになることは間違いない。

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