Bluetooth SIGは、時計や玩具、スポーツ用品、健康器具、ゲーム機、一般リモコン製品などへの採用を想定した低消費電力型の「低エネルギーBluetooth」をワイヤレスジャパン2008で初めて公開。デジタル重量計と温度センサー、ノキア製端末を用いた低エネルギーBluetoothリンクを行うデモを展開する。
低エネルギーBluetoothは、標準のBluetoothと比べて5分の1から10分の1の低消費電力性が見込め、例えば(機器の構造や通信頻度にもよるが)CR2032型などのボタン電池で1年ほど利用できる。デモはデジタル重量計を体重計、温度センサーを体温計と想定。温度はリアルタイムに、体重は自身で送信操作を行うたびに測定値を送信し、携帯端末で結果を確認できる仕組み。
それぞれの機器に組み込まれる低エネルギーBluetoothのプロトタイプ(CSRのBlueCode7デバイス)でリンクする。規格としては理論上最大1Mbpsで通信できるが、既存のBluetoothと併用を想定し、情報量が少ないテキスト情報のやりとりを主とする。2009年半ばまでに仕様を策定し、2009年度後半から2010年度初頭に(メーカーによる)対応製品の出荷を目指す。
主な利用例に、血圧計や脈拍計などに搭載し、ユーザーの携帯電話経由で医師へ定期送信/緊急事態通知といった医療用途、体重計や体温計などとともに利用するウェルネス用途、ウェアやシューズ、腕時計、フィットネス系運動器具などとリンクするライフスタイル用途などのシーンを想定。既存のBluetoothもヘッドセットや音楽再生、ワイヤレスモデム、データ送信などさまざまな用途に利用できるが、駆動時間が短く、頻繁に充電や電池交換を必要とするデメリットがあった。低エネルギーBluetoothはそれに限定せず、低消費電力性を生かした幅広い利用シーンが見込める。
通信キャリア主導のサービスとして最近、携帯とウェルネスやスポーツ用途とをリンクするものが登場しているが、近距離無線通信規格のBluetoothはあくまで身近な機器とのリンクを想定し、逆にそれらとも親和性がより高まるとする。家庭内や身の回りの製品は低エネルギー版も含めたBluetooth、携帯を経由してキャリアの通信網と連携、携帯はPAN(Personal Area Network)とWAN(Wide Area Network)を中継する重要な機器として存在するイメージだ。
またBluetooth SIGは、この低エネルギーBluetoothがリモコン製品にも大いに活用でき「相互運用可能な万能リモコンとして民生機器業界の用件を満たす」とアピールする。2008年現在、無線リモコンにおける標準規格がなく、各社それぞれの仕様で展開する。低消費電力性と動作の確実性、安全性、(電波であるため)赤外線方式のように設置性に制限がないことなどをメリットに挙げる。
「規格化されたBluetooth無線技術が異なる産業にまたがる相互運用性をもたらし、リモコンを低コストな情報処理機能を持たない周辺機器として設計できるようになる。低エネルギーBluetooth技術搭載の携帯端末が市場に出る2009年から2010年にかけ、今後1億台以上の端末に導入されると予想する。テレビ画面に出す情報表示にかわり、電子番組案内や録画条件設定を表示するSTB端末とともに使用することもできる」(Bluetooth SIG)
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