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第103回 雷と雷雨とシャッタースピードの関係今日から始めるデジカメ撮影術(2/3 ページ)

» 2008年08月28日 08時30分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

具体的に挑戦しよう

 では撮影に挑戦だ。

 必要なのは三脚とデジタル一眼レフと広角系のレンズ。できればリモコン(やケーブルレリーズ)。長時間指でシャッターを押し続けるのは退屈だし、ブレやすいからだ。

 そして「雨に濡れず、空が見え、雷が落ちなさそうな撮影場所」だ。これは大事。今回はマンションのベランダから撮影した。

 空を見ていたら、急に空が黒くなり、雷がきそうな雰囲気になってきた。

急に真上に黒い雲がやってきた

 やがて雷の音がする。

 そこで、カメラに三脚を取り付け、広角系のレンズをつけ、雷撮影の準備をする。

 まずフォーカスをマニュアルフォーカスにし、無限遠にセットする。レンズの距離メモリを見て、「∞」マークのあたりにセットすればだいたいOK。

レンズのフォーカスリングを見ると、おおまかな距離が書いてある。ここで「無限遠」に合わせればOK。AFがメインの低価格なレンズだとこの目盛が付いてないことがある。その場合はファインダーをのぞいて、遠くのビルの灯りに合わせればよい

 その次は撮影の設定だ。

 ISO感度は100か200。一番低いところにする。露出モードはマニュアル露出(M)。絞り値はF22あたりに。とにかく絞り込む。

 さっき「空は暗いから長時間シャッターを開いてもOK」と書いたけれども、都市圏では雲が街の灯りを反射するので真っ暗ではないからだ。だから余計な光はぎりぎりまで押さえる。

 シャッタースピードは「バルブ」にする。「BULB」と表示されるまでダイヤルを回すのである。

シャッタースピードをどんどん遅くしていくと、最後に「bulb」(バルブ)になる

 こういうセッティングが必要になるので、コンパクトデジカメでは難しいのだ。

 そしてリモコンかレリーズの登場。

 「BULB」はシャッタースピードを決めないで、「シャッターボタンを押している間だけシャッターを開く」機能。長時間露光時に使う。リモコンやレリーズがあると「1回押すとシャッターが開いて、もう一度押すと閉じる」という撮り方ができるが、ないと、ずっとシャッターボタンを押しっぱなしにしなければならない。それは手が疲れるしブレの元だ。

 何しろ、今から「いつ落ちるか分からない雷を待つ」のである。

 セッティングができたら、雷が落ちそうな方向にレンズを向け、シャッターを開いてじっと待つ。あまり長い間開けてもよくないので、1〜2分待って、ダメだったら撮り直しという感じか。

 じーーーっと待ってたら、今回は運のいいことに、シャッター幕を開いて待ってたら20秒くらいで右手に雷が見えたっ。

 ただ端の方だったのでちゃんと写っているかどうかが不安。シャッターを閉じ、しばらくノイズ低減処理を待ち、画面を見る。右端になんとか写ってました。ほっ。

右に雷が見事に撮れた。端っこだったのが残念
雷のあたりの拡大図。黒いゴミが写っている

 でもよく見ると、雷の横に黒いゴミが移ってる。これは「撮像素子についたゴミ」だ。

 F22のように「絞り込む」と被写界深度が深くなり(ピントの合う範囲が広がる)、今まではまったく気にも留めなかった撮像素子表面に付いたゴミにまでピントが合っちゃうのである。これがふたつめの注意点。

 この問題は、デジタル一眼レフのゴミ問題として有名な問題で、使っているうちに、カメラ内に入った細かいゴミが撮像素子表面に静電気で付着してしまうのだ。最新のカメラは付着しづらい工夫がされていたり、付着したゴミを振動で落とす機構がついているなど「ゴミ対策」が施されているので以前に比べると出づらいが、F16やF22に絞り込むときは注意したい。

 気になるときは、メーカーのサービスセンターで掃除をしてくれる。

 では雷の話に戻ろう。

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