ソニーが発表した、デジタル一眼レフカメラの新製品「α380」 「α330」 「α230」。新製品ながら、前身にあたる「α350/330/200」から撮像素子やボディ内手ブレ補正機能など主なスペックの変更は行われていない。
その理由について、同社では「モノ」軸ではなく「コト」軸で企画したからと語る。
ソニーマーケティング デジタルイメージングマーケティング部 αCAT課 統括課長の北村勝司氏は最近のデジタル一眼レフ市場について、主にエントリークラスを中心としたユーザー層の購買意欲自体は減退していないものの、経済状況の悪化で「欲しいけど、買い控えている」に陥っていると分析する。
現在のデジタル一眼レフカメラをカテゴリー別に販売構成比を分析すると、約8割がエントリー向けの製品であり、そのエントリークラスへ向けた新製品を作り出すべく企画を進める際に、3つの“気づき”があった。
1つめはデジタル一眼レフカメラの購入については男性が主導することが多いものの、エントリー向けデジタル一眼レフカメラの“利用”については、6割が女性も同時に利用していること。
1つはエントリー向けとはいっても、本格的な一眼レフであることから利用者が「レンズ交換などの発展性」「撮影自体を楽しみたい/こだわりたい」と考えており、同時に「できるだけ簡単に」とも思っていること。
1つはフォトフレーム市場の急速な立ち上げからも分かるよう、撮影した写真について「プリントするほどでもない」「PCにため込むのはもったいない」と思っているユーザーが相当数存在すること。
上記の3つを満たす、つまりは「男性が満足し、女性も簡単に使える」「簡単に使いこなせる」「プリントせず、PCに接続しなくても撮影した写真を楽しめること」が新製品の企画を進める上で大きなヒントになったという。
そこで、撮像素子の画素数増加や動画機能の搭載といったスペックの向上よりも取り回しの良さを狙い、α380/330/230はすべて既存モデルα350/300/200よりも小型軽量化を果たした。可動式液晶を搭載しないα230においては、ボディ内手ブレ補正機能のデジタル一眼レフカメラとしては世界最軽量(同社)を実現するまでに至った。
ユーザーインタフェースも改良し、絞りやシャッタースピードの関係をグラフィカルに理解できるモードを新設し、「このような操作をしたら、このような写真が撮れる」と理解を深めながら写真が撮れるように工夫した。また、サイバーショットシリーズでは搭載例のあるカメラ内ヘルプ機能も備えた。
HDMI-CEC「ブラビアリンク」にも対応し、HDMIケーブルで対応ブラビアに接続すると、ブラビアのリモコンからスライドショーなども楽しめる。
同時に発表されたアクセサリーやレンズにも3つの“気づき”が反映されている。小型軽量なフラッシュ「HVL-F20AM」は1万3650円。標準ズーム/望遠ズームレンズに次いで人気のある単焦点レンズの新製品「DT 50mm F1.8 SAM」は2万3100円、開発発表の行われたマクロレンズ「DT 30mm F2.8 Macro」も3万円を切る価格になる見込み。
「レンズについては3万円以下で、分かりやすい効果の得られるもの、と企画した結果このようになりました。単焦点レンズはより明るいものを用意することもできましたが、それでは価格が上がってしまいますからね」(北村氏)
そのほかにも最近定番となってきた斜めがけ可能なロングタイプのショルダーストラップやハンドストラップ、レンズキャップホルダー、カメラ本体を柔らかく包むラッピングクロスなどが用意されるが、いずれもブラック/ホワイト/ブラウンの3色展開が行われる。本体と同色、あるいは好みの色を組み合わせて利用できる。
デジタル一眼レフカメラにおいては、動画撮影機能の搭載はトレンドといえるが、この点について北村氏は「搭載するどうかの議論はあったが、一瞬を素早く切り取るというといった一眼レフの良さを優先して製品化することにした」とコメント。ただ、α700 α900といった上位機については「モノ軸の製品なのでさまざまな可能性を検討する」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR