小寺信良の現象試考
どのタスクも落とさないタスク管理、7つのコツ(2/3 ページ)
- セオリー2:長期の仕事はセグメント分けして、時間単位までに分解する。
1日では終わらない仕事というのは、当然ある。納期は常に存在するわけだから、そこから逆算して全体のスケジュールを引くというところまでは、誰でもできる。大きなプロジェクトでは、制作進行を担当する人がだいたいそういう線表を引いてくる。
問題はそこから先で、その線表だけを見ながら、自分の仕事をしてはいけない。その線表から自分のパートを、自分のタスクに転換する作業を行なう必要があるわけだ。長期の仕事は、なるべく作業フェーズを時間単位まで分解して、日々のタスクの中に落とし込んでいく。
実際にそれに基づいてタスクをこなしていくうちに、ペースが見えてくる。その時点で押すのが見えた場合は、他のタスクを調整する必要がある。一見まいているようでも、長期の仕事はいったん押し始めると、積もり積もって巨大な「押し」を発生させるので、まいているときは前倒しで次のフェーズにとりかかる。
- セオリー3:プライオリティは決めない。どうせ全部やるんだから。
ToDoが良くないなと感じるのは、仕事にプライオリティを決める点である。どっちみち全部やる仕事を抱えているのに、重要なものから先に片付けようとすると、重要ではないものまで手が回らなくなる。そういうものが最終的に、納期に間に合わないタスクとしてこぼれてしまう。
もちろん、力を抜いてもいい仕事とそうではない仕事が存在するのが、世の常である。ギャランティが合わないとか、自分向きではないとかいろいろな事情もあるだろう。それはそれで現実なのだが、どっちみち全部やるわけだから、それを順位付けしてもしかたがない。
またプライオリティ付けを行うことの弊害として、上位の仕事はいいものができるが、下位の仕事が加速度的に雑になっていくことが挙げられる。どんな条件でも常に一定レベルのクオリティでアウトプット出来るのが、職人の仕事のやり方である。
ギャランティと仕事のバランスは、クオリティで調整するのではなく、分量や日数、時間で調整すべきだ。そこで調整が付かない場合は、将来の自分にとって経験といった無形財産になるかとか、価格に変換できないインセンティブを計算に加える。それでも調整が付かない仕事であれば、やる意義がないので、断わっている。
スケジューリングとタスクの実行
タスクが分解できたら、次にどういう順番でこなしていくかである。プライオリティを決めないのだから、重要度は処理順番にならない。そこで別の指針が必要になってくる。
- セオリー4:手を付ける順序は納期順。納期前に仕上げて、直前に見直す。
だいたい仕事というのは、今日発注されて納期が明日、というようなものは少ない。納期まで長いもの、短いものいろいろあるわけだが、現在日時から納期が近いもの順にとりかかるよう、スケジューリングする。
それらの期間中に、もっと納期の短い仕事が割り込んでくることがある。そういう場合は短い方を先にやり、遠い納期のタスクを後ろにずらしていく。ただし、もう手を付けてしまった仕事は、それが終わるまでは途中で割り込ませたりしない。
こうして前倒しでスケジューリングしていくと、納期前に仕事が上がることになる。しかし、できたからといってすぐには納品しない。そのときはイキオイでわーっとやってしまうのだが、そういう沸騰した頭で見ているのと、一日経って冷めた目で見るのとでは、評価軸が違ってくる。加えた方がいいポイントを思いついたり、論旨の矛盾に気がついたりする。送る前にもう一度ざっと見直すぐらいの時間的余裕は欲しい。
- セオリー5:1日のうちに同じタイプで別テーマの仕事を組まない。
例えば1日に違うテーマで原稿2本、となると、大抵2本目は思うように進まない。前の原稿の思考に引きずられて、頭がうまく切り替わらないのである。もっともこれには個人差があるのかもしれない。
個人で仕事をしている場合は、2つの仕事の間に休憩や気分転換を入れるなどの時間の使い方が許される。しかし会社組織では、頭を切り替えるためのインターバルの必要性が、あまり認知されていないように思う。10分の休憩で次の仕事にとりかかるより、1時間雑談したり昼寝してから取りかかった方が、結果的には2番目の仕事が早く終わる。
会社としては1時間分無駄に給料を払うのは容認できないかもしれないが、たぶんトータルの労働時間はあまり変わらないはずだ。むしろ脳の活性化が行なわれて、アウトプットの質は向上するはずである。そもそもうつ病を患って1年休職されて会社を辞められるよりも、ずっとマシであろう。そういう効率化のデータをもっと積み上げて説得力を持たせれば、社会の意識も変わるかもしれない。
筆者は1日のうちにこなす複数のタスクを、なるべく違った「タイプ」で組み合わせるようにしている。例えば打ち合わせと原稿、取材と原稿、調査と原稿、といった具合に、外仕事と内仕事を組み合わせるわけである。これは、2つの仕事がそれぞれに対しての気分転換になるというメリットがある。この場合、テーマは同じで構わない。むしろ1日「それ専門の人」モードになったほうが、打ち合わせ中に変なことを言い出さないので、人として安全である。
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