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まさに全力投球、画質も大きく進歩した日立「Wooo」(2)本田雅一のTV Style

» 2009年06月12日 14時36分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 前回に続き、日立製作所のプラズマテレビを取り上げる。この春のWoooシリーズは、どのモデルも一様に画質面で大きく進歩したが、とくにプラズマ03シリーズは、すばらしい画質を得ている。

photophoto 4月に発売されたプラズマ「03シリーズ」(左)。昨年4月に登場したプラズマ「02シリーズ」(右)

 日立のプラズマテレビは、2007年のプラズマ「01シリーズ」で、色再現がかなり自然になり、昨年の「02シリーズ」ではコントラストを高めることに成功していた。日立製パネル内での進化でいえば、かなり長足の進化を確実に遂げていたが、他社と比較すると進化のタイミングは一歩ずつ遅く、また02シリーズではコントラストを大幅に上げたにもかかわらず、階調表現が高まっていなかったため、かえってもともと良くなかった階調表現がさらに厳しくなるという問題を抱えていた。

 この連載で、これまで同社のプラズマテレビをほとんど取り上げて来なかったのも、そうした部分に対する疑問をぬぐいさることができなかったからだ。

 02シリーズの導入時、パネル開発関係の技術者に「コントラストを上げたなら、階調表現にも手を加えないと良さを生かせないのでは?」と質問したところ、「今回はまず高コントラスト技術を盛り込んだ。高階調化はこの次で」と応じられて残念だったのだが、ご存知の通り、同社は自社製プラズマパネルの開発・生産を打ち切ったため、高階調化技術が世に出ることはなかった。

 しかしプラズマ03シリーズでは、パナソニック製のNeo PDPを採用した(編注:日立では、表面ガラス部分の供給を受けて開発したとしている)。パナソニックのPDPは、Neo PDPの世代で特性の直線性が大きく上がっている。パネルとセットで供給されるLSIも、以前に採用していたものより扱いやすく、自由に絵作りを行えるようになったという。直線性の低いパネルで絵作りを行う場合、特性の悪さが目立たないよう工夫する必要があるが、直線性や階調性が高くなれば、より自然な表現にできる。

 日立は液晶テレビを含む新モデルすべてに、自動画質調整モードの「インテリジェント・オート高画質」を搭載しているが、こうした環境に応じた自動画質調整機能はクセの強いパネルではうまく機能しない。ガンマカーブの変化、色温度の変化などに対して素直に応答しなければならないからだ。

 またパナソニック製プラズマテレビとの差異化も行われている。日立とパナソニックのプラズマテレビは基本的に同じNeo PDPだが、最終工程で貼り付けられるカラーフィルターの仕様が異なるためだ。

 日立は蒸着タイプのフィルターを採用しており、またパナソニックのものとはRGBの色度点も異なるため、両者はよく似た特徴を共有しつつも、異なるものに仕上がっている。蒸着タイプのカラーフィルターは回折による色の拡散が少ないため、純度の高い抜けの良い色と明るさを引き出せる。

 一方でパナソニックには「カラーリマスター」など、同じLSIを用いていても異なる技術を組み合わせており、日立と絵作りは全く違う。フィルターの違いだけで両社の優劣を決めるものではないが(パナソニックのフルHDプラズマテレビにも、前面ガラスパネルのV1シリーズとダイレクトにフィルターを配置したZ1シリーズがあり、見え味はそれぞれ異なる)、これまで自社製パネルのクセに悩まされてきた日立が、ライバルと同じスタートラインに立てたことで、大きく前進したのは確かだ。

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