バンダイは10月20日、「大人の超合金」シリーズの第1弾「アポロ11号&サターンV(ファイブ)型ロケット」を発表した。7月の「東京おもちゃショー2009」に参考展示され、そのサイズと緻密(ちみつ)な造形で注目を集めたリアル志向の超合金(→全高76センチ、月面着陸を再現できる「大人の超合金」)。2010年3月に5万2290円で発売する。
超合金といえば「マジンガーZ」に始まる亜鉛合金(ダイキャスト)製のロボット玩具だが、「大人の超合金」は超合金で培った技術を利用して実在の造形物をリアルに再現する“大人向けのこだわりのホビーアイテム”。「歴史上、人々に感動を与えたもの、記憶に残っているものをテーマにしていく」という。その第1弾が、1969年7月に人類史上初めて月の地表に降り立ったアポロ11号。当時、その月面着陸の模様は全世界にテレビ中継され、多くの人々が画面にくぎ付けになった。
大人の超合金シリーズは、塗装済みの完成モデルとして販売されるが、その作りはまさに「こだわりのホビーアイテム」だ。3段の液体燃料ロケットや司令船などはすべて切り離し可能。実際のロケットと同様に9つのパーツに分かれ、打ち上げから月着陸、帰還までの全シークエンスを再現(手動)できるという。月着陸船の脚部は、ロケットに収納するための“脚を畳んだ状態”と月着陸時の“脚を開いた状態”の2つを用意しており、付け替えることで月面着陸にいたるシチュエーションを再現できる。
企画と開発を担当したバンダイ・コレクターズ事業部企画開発チームサブリーダーの土田一郎氏によると、開発にあたってはアメリカはもとより、世界中から資料を集めたという。「図面が手に入れば作業は早いのですが、NASA(アメリカ航空宇宙局)はそうした資料提供や監修を行っていません。その代わり、国内のアポロ専門サイトとして有名な『アポロマニアックス』の全面協力を得て、外観はもちろん、分割したロケットのエンジン部分など細かい部分まで精密に再現しました」(土田氏)。
ロケット表面のディティールを再現するため、外装にはダイキャストではなく、ABSやPVCなど樹脂素材を使用している。このため、アポロ11号とサターンロケットの総重量は約1キログラムと意外なほど軽い。そのかわり、ロケット内部の燃料タンクを金属製として超合金ならではの重量感を演出したという。また司令船の先端部はメッキ加工により実物と同じ質感を実現した。「これまでの模型やプラモデルとは一線を画す、世界で最も実機に忠実な模型に仕上がりました」(土田氏)。
ディスプレイ用のスタンドも凝っている。精密な外観を眺めるため、製品には縦置き用/横置き用の両方が付属。発射前のサターンロケットをイメージした縦置き用台座は鏡面仕上げで、立てたまま精巧なエンジン部分を眺めることができる。また台座部分に月の地表を再現した「月面プレート」が付属しており、月着陸船と米国国旗、2体の宇宙飛行士フィギュアを並べて月面着陸時の様子を再現可能だ。一方の横置き用のディスプレイ台座は、サターンロケットやアポロ11号を分割した状態で展示できる。
大人の超合金「アポロ11号&サターンV型ロケット」は、2010年3月から全国の模型店や玩具店などで販売される予定。なお、初回生産分には特典として「大気圏突入後の司令船」が付属するという。これは、地球に帰還する際、大気との摩擦によってダメージを受けた司令船のミニチュアモデル。サイズは同じく1/144スケールで、専用のディスプレイスタンドも付属する。
「当時、テレビ中継を見守っていた40代後半から60代の男性がメインターゲットになりますが、スケールモデルファンや天文ファンなど、若い世代にも手にとってほしいです」(同社)。
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