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「CELL REGZA」はマルチチャンネルもよく似合う(2/3 ページ)

» 2009年12月11日 18時05分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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photo まずは付属スピーカーだけで視聴。画面は、「アンジェラアキ My Keys 2006 in 武道館」(ESXL-2/6090円)

 まず特筆したいのが、帯域バランスの良好さだ。最低域までの伸びが良く、ボリューム感も充分かつ自然。キャビネットのサイズからは想像できない、きれいなピラミッド型の帯域バランスで、サウンドをリアルかつ自然に聴かせてくれる。中域にしっかりとした厚みがあるため、人の声もはっきりと届いてくる。

 とくに女性ボーカルが印象的で、その力強い歌声は体の中まで響きわたるかのよう。さすがに派手なアクション映画の重低音は求めようもないが、一般的な映画やドラマなど、放送波のAAC音声レベルであれば、充分に堪能させてくれる。ライブ映像などは、これで充分満足と思うユーザーが少なからずいることだろう。

 ソフトドーム・ツィーターを採用したことで、表現力も豊かだ。ハードドーム・ツィーターのように突き抜けた高音は期待できないが、代わりに声や楽器にニュアンスの細やかさや心地よい響きを与えてくれている。高域を欲張りすぎなかった恩恵といえるだろう。こういった部分にも、桑原氏が施したセッティングの絶妙さがうかがえる。

 あえて苦言を呈するとすれば2つ。ディスプレイ下部にスピーカーを設置しているため音の中心がどうしても“下寄り”になってしまうこと、そしてサウンドバランスのクォリティーレベルまでは解像度や音の細やかさが達していないことは、少々気になった。

 なかでも、スピーカーをディスプレイの左右にレイアウトしなかったのは、少々疑問に思うところ。もちろん下置きの一体型キャビネットならではのメリットは充分発揮されているので、どちらがベストだったかは微妙だが、こと上下方向の音像に関しては“最良”とはいえない状態にある。

 一方、音の細やかさに関してはスピーカー設置位置に比べてもうひと息といったレベル。ソフトドーム・ツィーターの恩恵もあって、かなり細かい音まで拾い上げてはいるものの、解像度感が低いというか、キメが粗く感じてしまうのだ。もちろん、ディスプレイ付属スピーカーとしてはこれまでないレベルには達しているが、基礎体力が高いだけに惜しいと感じてしまうところでもある。

センタースピーカーモードを検証

 これらの弱点を補い、さらに素晴らしいサウンドを堪能させてくれる簡単な方法がある。それは、AVアンプと単体スピーカーを用意することだ。

 それでは、「これまでのディスプレイと同じ考えじゃないか」と思うかもしれない。しかしCELL REGZAは、これまで紹介したとおりひと味もふた味も違う。付属スピーカーをセンタースピーカーとして活用できたり、HDMI CEC機能によってAVアンプと連動するなど、機能的にも音質的にも異なるレベルにある。

 ということで、CELL REGZA単体の試聴に続いて、マルチチャンネルシステムに組み込んだ際のクォリティーを確認することにした。使用する機材は、ヤマハ製のAVアンプ「AX-V1065」と同じくヤマハ製のフロア型スピーカー「NS-700(BP)」。フロント左右にトールボーイタイプのNS-F700を、またサブウーファー「NS-SW700(BP)」を併用するのみにとどめ、センタースピーカーはCELL REGZA付属のユニットを使う3.1チャンネルシステムとした。

AX-V1065

photo ヤマハのAVアンプ「AX-V1065」

 昨年ヒットした「DSP-AX863/763」の後継機として7月に投入されたミドルクラスAVアンプ。Blu-ray DiscのHDオーディオ再生はもちろん、シネマDSPの「3Dモード」など機能面も充実させた。HDMI入力は4系統で、フロントパネルにはポータブルオーディオの接続に便利なUSB端子も備える。

 アンプ部の実用最大出力(JEITA)は各チャンネル145ワット。HDMIのスタンバイスルー(AVアンプがスタンバイ状態でも入力機器信号を伝送する機能)時の消費電力を3ワット未満に抑えるなど、大幅な省エネ化も実現。


NS-F700(BP)

photo フロア型スピーカー「NS-F700」(BP)

 3ウェイのフロア型スピーカー「NS-700シリーズ」のピアノフィニッシュ版として9月に追加されたのが「NS-F700(BP)」。A-PMD(Advanced Polymer Injected Mica Diaphragm)振動板を採用した16センチウーファーと13センチミッドレンジ、3センチのDCダイヤフラム方式ドームツィーターを搭載している。

 キャビネットは、バップル前後面以外の平行面をなくすとともに、伝統的な“曲げ練り”技法を用いて天面をラウンド。これにより、キャビネット内部の定在波やキャビネット表面の回折現象を抑え、クリアな再生音を実現するという。インピーダンスは6オーム。サイズは 354(幅)×1012(高さ)×374(奥行き)ミリ(スタンド含む)、25キロ。


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