「E-CORE」(イー・コア)というブランド名でLED電球を展開する東芝ライテックは、今年の2月にミニクリプトン形、3月に一般電球形の新たな製品を続々とラインアップに追加している。同社はLED照明に早くから注目し、一般電球形のLEDについても低価格化や高性能化に積極的に取り組んできたメーカーだ。そんな東芝ライテックの管球事業部・商品部で主務を勤める竹中祐二氏に、LED照明事業の現状と今後の展望について話を聞いた(以下、敬称略)。
――最初に一般的な口金に使えるLEDを発売したのはいつ頃ですか?
竹中: 2006年にサイン球のような装飾用のLED電球を出したのが最初です(→電球ソケットで使える“LEDランプ”が登場)。一般照明として使えるものは、2007年の12月ですね。これは白熱電球40ワットクラスだったのですが、そのわずか半年後には同じ消費電力で60ワット相当のものを発売しました。
そこからは加速度的に技術進歩が進んで、2008年にビームランプを発売しました。これは店内のスポットランプや屋外看板の照明などに使うものです。このビームランプの明るさは電球色で白熱灯の75ワット相当、白色が100ワット相当でした。もちろんビームランプなので白熱灯100ワット電球とは違って、狭い配光での話ですけどね。
この頃はまだ世間では注目されず、家電量販店でもバラエティ商品の1個という位置付けで、そんなに大々的に売り出すような雰囲気ではありませんでした。実売で約1万5000円と値段が高かったということもあります。
――一般家庭において、白熱電球の置き換えを意識したLEDはいつ頃に登場したのでしょうか?
竹中: 一般電球の置き換えができるタイプは、1年前の2009年3月に発売しました。明るさが全光束で白熱灯30ワット形相当、直下照度で40ワット形相当のものですね。海外メーカーも含めると定かではないですが、国内の総合照明メーカーとしてはもっとも早かったと思います。
ビームランプのときとは違って、今度は家電量販店での反応もよかったので、生産ラインも増やして社内的にも盛り上がっていきました。実はそのときすでに、次に発売するものとして直下照度で60ワット形相当のタイプを用意していたのです。
ただし製造コストが高く、価格が1万円くらいになってしまうので、これでは高くて売れないだろうと。なにしろ手探りの中で作っているもので、出る数量もまったく見込めないし、少量生産ということで部品も大量に調達できません。1万円という価格も、電気代も込みで考えれば白熱灯より安くはなるのですが、とにかく一般電球は1個あたり百数十円の世界なので、これでは無理だろうと。
というわけで、なんとか製造コストを下げて値段を切り詰めたものを、2009年7月に発売して、実売5000円くらいになりました。この価格帯で一般電球形のLED電球を店頭に置いたのは、実は東芝が一番早いです。これを発売したところ、今度は逆に生産が追いつかなくて苦労しました(→家庭用LED電球の競争激化 先駆者東芝「明るさナンバーワン」で攻勢)。
――今年の3月にまた新たな一般電球形LEDが発売となりましたが、これはどのような商品ですか?(→東芝ライテック、価格を抑えたLED電球4機種を発表)
竹中: 今度の商品はなにが違うかというと、まずなんといっても価格ですね。今までよりも1000円くらい安くなります。4.6ワットタイプのLDA5シリーズは3000円、6.4ワットタイプのLDA6シリーズは4000円を切る店も出てくるのではないでしょうか。
光り方もこれまでと少し違っています。以前は小さなLEDの発光部分を複数使って光らせていたので、光に少し影が出たのですが、今度のタイプは発光部分が1つにまとまり、真ん中から明るくなります。より電球の光り方に近づいた感じですね。簡単にいえば、従来モデルのいいところだけを取り、コストを下げて、より普及を目指すタイプになります。
――このほかに注目の商品はありますか?
竹中: 平成21年度の省エネ大賞を受賞したLEL-AW8シリーズですね。これは昼白色相当と電球色相当のいずれも業界では一番明るい商品で、直下照度は白熱灯の80ワット形に匹敵します。「LED電球は明るさが足りない」とおっしゃる方もいるのですが、LEL-AW8なら白熱灯と比べても見劣りしません。この商品の登場により、本当の意味で白熱灯からの交換ができるようになったといえます。
また、今年の2月に新たにE17口金で使えるミニクリプトン電球のLDA-E17シリーズを発売しました。白熱灯のミニクリプトン電球を、LEDに替えれば交換頻度は劇的に少なくなります。洗面所や廊下の天井に埋め込まれた小さな照明に使うなら、白熱灯との違いはほとんど気になりません。
ただし白熱灯とは配光が違うので横挿しの場合は推奨していません。東芝は住設用の照明器具も扱っていますので、配光が白熱灯と同じように出ないものを「使える」とはアピールできないんですね。総合照明メーカーだからこそ他社に先んじて一般電球形のLEDを開発できたわけなんですが、そのようなデメリットもあります。
当社としては一般電球形だけに取り組んでいるわけではなくて、実は住設用の照明器具についてもLEDの開発が同時進行で進んでいます。こちらのほうはすでにダウンライトから始まっていて、そのうち主照明として使えるものも登場すると思います。
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