一般的な偏光方式では、テレビの走査線ごとに異なる偏光層を作るため、縦方向の解像度が半分になってしまう。実際、LG電子が展示している31インチの3D対応有機ELテレビもパッシブ型メガネを使用するため、3D表示の際は縦方向の解像度が半分になる(2DはフルHD解像度)。
一方、AUOの展示機は、右目用と左目用の映像を交互に映し出すフレームシーケンシャル方式を採用している。パネル表面に「LC scanning retarder」と呼ばれる偏光層を設けたことで、偏光メガネでありながらアクティブシャッターメガネと同様、時分割の映像を左右の目に振り分ける役目を果たすという。フルハイビジョン3Dを可能にしながら、軽く、電池もいらない偏光メガネが使えるのは大きなメリットとしている。
映画のシネマスコープサイズにあたるアスペクト比21:9のディスプレイも複数出品されていた。AUOは、240Hz駆動の71V型で「世界最大」をうたう。しかもフレームシーケンシャル方式の3D表示に対応した「ホームシアター向け」だ。
一方、シャープはUV2A技術を採用した58V型を展示。3Dや4原色ではなかったが、240Hz駆動に対応する。21:9のウルトラワイドテレビは、すでにオランダのフィリップスが製品化しているが、市場性については未知数な部分が多く、シャープも参考出展という位置づけだった。
今年は昨年以上に3D関連の展示が多く、テレビのみならずデジタルサイネージなど商用分野にも進出している。裸眼立体視ディスプレイで知られるニューサイトジャパンは、近日発売予定という8インチの3Dデジタルフォトフレームや、それに無線LANを組み込んだデジタルサイネージ用の製品など多数出品した。
中でもユニークだったのは、本物の水槽とパララックスバリア方式の裸眼立体視ディスプレイを一体化したサイネージシステム「Marinformation」(マリンフォメーション)。42V型の3Dディスプレイが商品の映像を映し出すと、まるで水槽の中に出現したように見える。その周囲を本物の熱帯魚が泳ぎ回るという趣向で、立体映像とリアル立体物のコラボレーションが見る者の興味をそそる。なお、参考出品ではあったが、「技術的に新しい部分はないので、要望次第で実用化できる」(同社)という。
FPD International 2010の会期は、11月12日(金曜日)まで。開場時間は10時から17時。入場料は2000円となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR