SRS labsは5月10日、iPhone 4/iPad用の外付けサウンドアダプター「iWOW 3D」を発表した。ドックコネクターに接続するだけで、「Windows Media Player」などで知られる“WOW! HD”のサウンド効果を手軽に楽しめる。希望小売価格は7980円で、5月半ば以降に量販店などで販売される予定だ。
SRS Labsは、人間の聴覚原理(音響心理学)を応用したオーディオ後処理技術を開発し、さまざまなメーカーにライセンス供与するビジネスを展開している。特許取得済み/出願中の技術は150を超え、対応製品は全世界で累計20億台以上出荷されたという。
昨年末に発売したiPhone 3GS用「iWOWアダプター」(iWOW 02)は、同社初のハードウェア製品だ。内蔵のテキサス・インスツルメンツ製DSPによって同社の「SRS WOW HD」相当のサウンド後処理を行う外付けのサウンドアダプターで、「クリアな高音と奥行き感のある豊かな低音、そして広がり感のあるダイナミックな音場が特長。人が感じやすい周波数で分かりやすく音を出す」(SRS Labsフィールドアプリケーションエンジニアの今田泰似氏)。
日本国内での出荷数は300個と少なく、どちらかといえばテストマーケティングの色が濃い商品だったが、ふたを開けてみれば発売から1カ月を待たずに売完売。SRS Labs、インサイドセールス&マーケティングマネージャーの渡邊英里氏は、「出足は好調。ユーザーやメディアの反響も大きかった」という。
ただし、従来機のiWOW 02はiPhone 3GSに一体化するデザインのため、いくつかの難点も指摘されていた。「iPhoneにケースを付けたままでは取り付けられず、またステレオミニジャックでは、標準プラグの変換アダプターなどが使用しにくいケースがあった」(今田氏)。
このためiWOW 3Dでは丸みを帯びたデザインに変更。Appleの30ピンドックコネクターを搭載したiPhone 4やiPad/iPad 2、iPod nanoといった幅広い機種に対応し、かつケースを付けたまま利用できるようになった。また、アダプターから短いイヤフォンケーブルを伸ばすことでイヤフォン接続時の柔軟性も向上。変換アダプターなどを使用しても干渉しないようになっている。さらに、「その日の気分によって付け替えられる」という5色(黒・シルバー・青・緑・ピンク)のカラーフェイスプレートが付属する日本独自仕様だ。パッケージや説明書も日本語にローカライズされている。
音質改善のキモとなるiWOW HDにも変更が加えられた。具体的には、まずサンプリングレートの低い圧縮音楽の場合に高域を補完するシミュレーションを進化させた「Definition」技術を追加。従来よりも高域がスムーズになったという。またイヤフォンやスピーカーのドライバーユニットから音を“広げる”ためのアルゴリズムにも変更を加え、「iWOW 02以上にナチュラルな音の広がりと豊穣な高域を楽しんでもらえる」(今田氏)。さらに演算処理の効率化により消費電力もわずかながら下がったという。
iPhone側でWOW HDの効果を設定できる専用アプリ「SRS WOWアプリケーション」は従来製品と同一だ。設定ではイヤフォンやスピーカー、カー(車載スピーカー用)といった出力先ごとの設定を選択できるほか、詳細設定では、音場を広げる「Wide Surround」、低音を豊かにする「Deep Bass」、そして高域に対する「High Treble」をそれぞれオン/オフが可能だ。「カー」モードでは、足元にスピーカーを取り付けられているケースが多いことから、音場を上方向に持ち上げる効果が含まれるという。
SRS Labsでは、従来はネット通販やオーディオ専門店に限っていた販路を拡大。ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ヤマダ電機といった大手家電量販店にも製品を並べ、また店頭には試聴用のスタンドも用意する方針だ。販売を担当するシネックスは、販売目標について「年内に1万台」と話している。
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