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» 2011年07月25日 18時36分 公開

野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review:デスクトップで真空管サウンドを堪能できるキュートな奴、「CAROT ONE ERNESTOLO」 (2/2)

[野村ケンジ,ITmedia]
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セパレートならではの作法

 デスクにおいても決してジャマにならないコンパクトなボディーサイズは、なかなか使い勝手がよさそう。逆に、真空管が頭からのぞくユニークなスタイルは、メタリックオレンジのカラーともあいまって、かわいらしさとともに確固たる存在感をアピールする。金属製のボディーを含め、質感には相当こだわっているようで、小型モデルにありがちな安っぽさはみじんもない。電源をオンにすると、真空管を際立たせるよう配置されたブルーLEDがともるが、これが明るいオレンジのボディーと相まって、なかなかの雰囲気だ。

真空管を際立たせるよう配置されたブルーLED。メタリックなオレンジの筐体に映える(左)。パワーアンプ部の電源スイッチは背面にある(右)

 プリ/パワーをセパレートしたこだわりのレイアウトを持つだけあって、操作にはちょっとした作法が必要だ。フロントパネルにはボリュームをかねた電源スイッチが用意されているが、これはあくまでもプリアンプ部のものであり、パワーアンプ部の電源スイッチは、リアパネル側に別途用意されている。スピーカーを接続している際、オーディオ機器のセオリーどおり「電源オンはソース側から、電源オフはスピーカー側から」の順で操作せず、このプリアンプ電源を先にオフにしてしまうと、盛大なポップノイズが出てしまう。

 日本のインポーターであるユキムがこの点をメーカーに指摘したところ、「それほど大きな信号ではないのでスピーカーを壊すことはない」と説明されたようだ。しかし、ウーファーがいつになく大きくストロークする姿を見るのは、精神的にもあまりよろしくない。電源を切る際には、順序に充分気をつけておきたいところ。同時に、今後はパワーアンプの電源スイッチもフロント側につけてもらえるよう、メーカーに対してリクエストしたい。ただし、ヘッドフォンアンプとして活用する際には、パワーアンプ部の電源オンは必要ないため、こういった心配はいらない。

サウンドの特長

 まずはヘッドフォンアンプとしての試聴から。フロントパネルのヘッドフォンステレオミニプラグにAKG「Q701」を接続する。

 なんという滑らかなサウンドだろう。ニュアンスの再現がきめ細やかで、抑揚感にも富んでいる。とくに女性ボーカルや弦楽器が良い。華やかに聴こえつつも、繊細な表現までもらさず伝えてくれる。このあたりは真空管ならではのメリットといえるだろう。

 一方で真空管から想像する一般的なイメージ、音の柔らかさや暖かさのようなものはあまり感じない。高域にややアクセントを置き、伸びやかさを重視する音色傾向もあってか、どちらかというとすっきりとしたイメージが漂う。かといって箱庭的なサウンドではなく、中域はしっかりとした厚みを持ち、ダイナミックレンジの幅にもずいぶん余裕があるため、音楽がとても躍動的だ。なかなか絶妙なチューニングといえるだろう。

 続いてスピーカー端子にエラック「BS53.2」を繋いでみる。こちらも、基本的にはヘッドフォンの音に近い傾向だ。繊細なニュアンスまでうまく再現し、それでいてダイナミックさも充分にある抑揚感に富んだサウンドが楽しめる。デジタルアンプを採用するためか、多少つややかさのようなものが減退し、解像度感の不足が目立つものの、気になるレベルではない。

 それよりも、パワーアンプの駆動力の高さに驚いた。エラックBS53.2は、一応ブックシェルフに分類されるとはいえ、デスクに置くには少々大柄なスピーカーだ。それをものともせず、パリッとした音離れのよいサウンドを朗々と奏でてくれるのだ。さすが欧州産というべきか、15ワット×2という数値以上のパワフルさを感じる。

 デスクで上質なPCオーディオを楽しみたい、好きなスピーカーを鳴らしたいという人には、なかなか貴重な存在といえるだろう。真空管を使ったヘッドフォンアンプを試してみたい、という人にもオススメだ。

音質評価  
解像度感 (粗い−−○−−きめ細かい)
空間表現 (ナロー−−○−−ワイド)
帯域バランス (低域強調−−−○−フラット)
音色傾向 (迫力重視−−−−○質感重視)
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