ソニーは8月31日、新開発の有機ELパネルを採用した3D対応のヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T1」を発表した。Blu-ray 3Dや「プレイステーション3」用ゲームなどの3Dコンテンツで「3Dシアターにいるような没入感を味わえる」という。11月上旬に発売する予定で、価格はオープンプライス。店頭では6万円前後で販売される見込みだ。
ヘッドフォン内蔵のヘッドマウントディスプレイとHDMIの入出力を持つプロセッサーユニットで構成されるパーソナルなシアターシステム。3D対応のBDレコーダーや「プレイステーション3」と接続するだけで3Dコンテンツを楽しめる。ディスプレイ部にバッテリーなどは搭載せず、専用ケーブルを介してプロセッサーユニットからディスプレイに電源を供給する仕組み。専用ケーブルの長さは約3.5メートルだ。また、プロセッサーユニットには別途HDMI出力が用意されているため、テレビも接続しておけば、ボタン1つで出力先を切り替えることができる。
新開発の有機ELパネルは、「一円玉サイズ」(同社)で、1280×720ピクセルのハイビジョン解像度。これを右目用と左目用の2つ搭載しており、それぞれ独立した映像を映し出す仕組みだ。「一般的なフレームシーケンシャル方式では、左右の映像が混ざり合って二重に見えるクロストークが発生しやすいが、HMZ-T1ではそれぞれ独立した映像を表示するため、原理的にクロストークは発生しない。偏光方式(ライン・バイ・ライン)のような解像度の半減もない」(同社)。同社はこれを、“デュアルパネル3D方式”と呼ぶ。
有機ELパネルは、0.01ミリ秒という応答速度と広い色域、そして高いコントラスト性能が特長だ。動きの速い映像もくっきりと表現できるため、「3Dゲームも快適に楽しめる」(同社)。また自発光デバイスであるため、黒を表示する際に“発光ゼロ”の状態にすることが可能。液晶テレビでは表現できない深い黒を実現できる。
さらにHMZ-T1では、ソニー製のBDレコーダーなどに採用されている「SBM」(スーパービットマッピング」を有機ELパネルの特性に合わせて改良した「SBMV」を採用。8bitの映像信号を14bit相当の階調表現に引き上げ、デバイスの持つ広い色域を生かすという。
視聴時の視野角は45度を確保。一般的なテレビを適正視聴位置から見たときの視野角は約30度とされるが、有機ELパネルの前に複数の光学レンズを使用した独自のレンズユニットを配置して視野を広げている。同社によると、これは「750インチ級のスクリーンを20メートルの距離で見る」ことに相当するという。またディスプレイ下部には柔らかい素材の「ライトシールド」を装着して無意識に視野に入る余計な光を遮断。映画館にいるような没入感が味わえる。
「多少の慣れは必要だが、3D対応のアイマックスシアターでスクリーン正面から20メートルの距離、つまり“一番いい席”で見るような臨場感を味わえる。シアタークラスの3D体験を家庭にも届けたい」(同社)。
音響面も“映画館並み”を目指した。ヘッドマウントユニットには、オープンエアタイプのダイナミック型ヘッドフォン機能を内蔵。単体サラウンドヘッドフォン用に開発された5.1chバーチャルサラウンド技術「vpt」(virtual phones technology)を採用し、あたかも前方や後方のスピーカーがあるような音場を再現するという。サラウンドモードは、適度な残響を伴う標準的な「スタンダード」、映画館の音場を再現する「シネマ」、音像の定位や方向感の再現を重視した「ゲーム」、そしてモニタースタジオのような音響設定の「ミュージック」の4種類から選択できる。
HMD本体のサイズは、ヘッドバンド部などを含めて210(幅)×126(高さ)×257(奥行き)ミリ。重量は約420グラム。一方のプロセッサーユニット部は、180(幅)×36(高さ)×168(奥行き)ミリ。HMDとプロセッサーユニットをつなぐケーブルは、長さが3.5メートル。パッケージには1.5メートルのHDMIケーブルや「額あて」「鼻あて」などが付属する。
対象年齢は16歳以上。
→ソニーストアで「HMZ-T1」をチェックする
HD有機ELパネル搭載、3D対応ヘッドマウントディスプレイ誕生。価格は5万9800円(税込/予定)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR