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オールステンのヘッドフォンにスピーカー、わが道をいくファイナルオーディオオーディオ&ホームシアター展 TOKYO

» 2011年10月21日 22時07分 公開
[ITmedia]

 金属製ハウジングのイヤフォンなど独自路線を貫く国内オーディオメーカー、ファイナルオーディオデザインのブースが面白い。「オーディオ&ホームシアター展 TOKYO」の展示会場には、まぶしいほど光り輝くステレオスピーカーとヘッドフォンが展示されており、いずれも製品化を検討しているという。また左右の色が異なるユニークなイヤフォン新製品も近日登場する。

 ファイナルオーディオデザインのブースは、秋葉原UDXビル2階「AKIBA SQUARE」の一角にある。スペースの多くは「PianoForte」シリーズなど既存イヤフォンの試聴スペースに充てられているが、その奥に、まるで金属でできたオブジェのような展示機が鎮座していた。

ステンレスとクロム銅で作られた光り輝くスピーカー。これでも社内的には“デスクトップスピーカー”らしい

 まずはクロム銅とステンレスで作られたスピーカーシステム。ホーン型ツィーターとダブルウーファーを搭載し、総重量は実に80キログラムに及ぶという。「1本ずつなら40キログラムですから、大人1人でも運べるレベル」。ただし、原価を計算すると150万円超になってしまうため、ウーファーを1つ省いた2Wayシステムとしての製品化を検討していくという。

 一方のヘッドフォンは、同社初のオーバーヘッドタイプ。こちらも「金属にできるところはすべてステンレス製」という気合いの入ったもので、40ミリと8ミリのドライバーも、多くのパーツでABSに変えてステンレスを使用した。

オールステンレスのヘッドフォン。イヤーパッドにも通常とは異なる素材を使用するそうだ

 さらにユニークなのは、2つのユニットを搭載しつつ、ネットワークを使っていないことだろう。これは、「コンデンサーなどネットワーク回路が入ると、音から生々しさが消えてしまう」ため。ユニットごとに受け持つ周波数帯域を分けないと相互に干渉したり、位相の違いで音が混濁する可能性もあるが、ファイナルオーディオでは2年間におよぶ研究の末、それらの課題をクリアしたという。

 「スピーカーもオーバーヘッドタイプも弊社としては初めてですが、グループのOEM/ODM事業ではユニットから作っています。だから普通と違うことがいろいろとチャレンジできる」。

 同社初のオーバーヘッド型は、2012年の早い時期に登場する見込み。気になる価格は未定だが「単純にコストを積み上げただけでも40万円超」とのことで、ハイエンドに属するものになることは間違いない。

新開発ドライバーによる新シリーズ登場

 もう1つ、展示はされていなかったが、未発表の製品を見ることができた。新開発の8ミリ径ダイナミックドライバーを搭載するカナル型イヤフォン“adagio”(アダージョ)シリーズだ。

6000円前後になる見込みの中位モデル。ハウジングはABSで、中央のリング部分は金属製になる

 同シリーズには、4000円前後のスタンダードモデルに加え、BAM(Balancing Air Movement)機構で低音を強化した6000円前後の中位モデル、そしてステンレスハウジング搭載の上位モデル(1万2000円前後)を用意。カラーバリエーションを含めて6モデル以上で展開する見通しだ。

 面白いのは、ハウジングの左右が色違いになっているモデル。こちらは6000円前後の中位機で、右が赤、左は白になっている。理由は明快で、「イヤフォンの左右が分かりにくいという声があるので、色を変えてみた」。このほか、試作機を見ることはできなかったが、現行“heaven”シリーズの下位モデルとなるBA(バランスド・アーマチュア型)イヤフォンの投入も検討中だという。

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