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豊かな拡がりでノリのよい演奏を満喫、ファイナル 「Adagio V」野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(2/2 ページ)

» 2011年12月15日 14時23分 公開
[ITmedia]
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「Piano Forte II」が進化したような音色

 このサウンド傾向は聴いたことがある。そう、音色、というか音楽の表現がとても「Piano Forte II」に似ているのだ。あれを密度感の高い丁寧な音に進化させて、さらに高域への響きを伸びやかにした印象だ。低域の雄大さは多少影を潜めるものの、ベースのボリュームは充分以上だし、中域をしっかりと際立たせるところは相変わらずなので、女性ヴォーカルやピアノの主旋律がとても印象的で、音楽の臨場感が高い。さらに8ミリドライバーのおかげか、キレとスピード感が数段増しているので、ピアノなどは、アタックが力強く、それでいて余韻の響きが美しい演奏が楽しめる。

S/M/Lサイズのオリジナルイヤーパッド、キャリーケースなどが付属する(左)。パッケージ(中)。コード長は1.2メートルで、3.5ミリミニプラグはL型となっている(右)

 現代音楽との相性がいまひとつなのも相変わらず。低能率のフルレンジスピーカーで再生されることを想定している最新Jポップや打ち込み系などは、もともとトレブル(高域)をアップしているため、高域の反応がよい「Adagio V」で聴くと、キンキン、ザリザリといった耳障りな音が目立つようになってしまう。

 このように、音楽ジャンルを多少選ぶ傾向があるものの、「Piano Forte II」よりは格段に懐が深いし、クラシックやジャズなど得意な音楽ジャンル(いわゆるアンプラグド系)では、それ専用に作られたのではないかと思えるくらい、臨場感あふれるサウンドが楽しめる。この点はとても魅力的だ。

 なお、小口径のダイナミック型ドライバーながらも、エージングは結構時間をかけた方がよさそう。今回の試聴ではまる3日ほどエージングを行ったが、まだまだ低域が抜けきっていない気配がある。じっくりつきあって育て上げたい、そう思える良質な製品だ。

音質評価  
解像度感 (粗い−−−○−きめ細かい)
空間表現 (ナロー−○−−−ワイド)
帯域バランス (低域強調−−−○−フラット)
音色傾向 (迫力重視−−○−−質感重視)
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