ITmedia NEWS >

DRC、ICC、そしてISVC――アイキューブド研究所、近藤哲二郎氏の超発想力麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(3/3 ページ)

» 2013年04月30日 17時02分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

麻倉氏: ISVCでは、ICCの「脳の負担を軽減する」から、より積極的に「見た人の感動を呼び起こす」ことを目指しました。普段使いのテレビと、腰を据えて映画を見たいときのプロジェクターという機器の性格にも合っています。発表会のプレゼン資料の中に、映画「ベン・ハー」封切り時のチラシが入っていましたが、「総天然色」「大スペクタクル」、これがISVCのキーワードだと思います。まるで自分が映像に取り込まれるような臨場感です。

映画「ベン・ハー」封切り時のチラシ

麻倉氏: ICCは高周波に着目しましたが、ISVCは低周波にフォーカスしました。映像の中では、山の稜線や水平線といったスケールの大きな部分です。人は景色をみたとき、最初に低周波を感じ、その後でディティール(高周波)を感じるそうです。

ISVCは低周波にフォーカス

麻倉氏: 今回はさまざまなデモ映像を見ましたが、上高地の映像などはIフォーカス感が細かいですね。河原の石ころの1つ1つが見えているイメージです。また、湾曲した川は、遠景から近景にかけて見え方が違い、スケール感が感じられます。フォーカスはより確実で、ICC的な精細感もしっかりと出しながら、画面からは雄大さを感じられます。

デモ映像の数々

麻倉氏: 映画BD「アラビアのロレンス」では、砂の1粒1粒が見える一方で、近景、中景、遠景がしっかり分かりました。ディティールしっかり出て、砂漠の広がりを考えると、眼前にすごいパースペクティブを持ってみるような印象です。

「アラビアのロレンス」のワンシーン。左が既存の超解像技術、右がISVC。映像協力:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(クリックで大きな画像が開きます)

――やはりプロジェクターとして製品になるのでしょうか

麻倉氏: 近藤さんによると、最終目標は「イメージシティー」だそうです。ICCやISVCも一里塚。最終的には社会に映像をうまく取り込みたいと話していました。例えば、ISVCはパブリックビューイングなどに使っても良いですし、大きなデジタルサイネージにも適しています。もちろん、私はまずホームシアターに使ってほしいと思っていますが、いずれは家庭から飛び出し、B to B的な発展も期待できるのではないでしょうか。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.