ITmedia NEWS >

シャープの新型4Kテレビ「LC-60UD20」で再確認した高精細映像の魅力山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(1/2 ページ)

» 2014年07月17日 16時25分 公開
[山本浩司,ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 当連載で3カ月に渡ってソニー東芝パナソニック各社の4Kテレビの詳細を紹介してきたが、今月は6月下旬から店頭に並び始めたシャープの4Kテレビ「UD20」シリーズをとりあげたい。60V型の「LC-60UD20」をじっくりチェックする機会を得たので、その画質インプレッションを中心にお伝えしよう。

AQUOSの「UD20」シリーズと「TU-UD1000」

  6月2日から放送が開始された124/128度CSデジタルの「スカパー!502チャンネル」を用いた4K/60p試験放送が、当初の予想を上回る良好な画質であることを先月の当連載で述べたが、その放送が受信できるのは、現在のところシャープの4Kレコーダー「TU-UD1000」のみである。自社製品同士の組合せとなるUD20シリーズは、当然ながら他社の4Kテレビ以上に安定した受信が可能となるうえ、TU-UD1000のHDMI出力に照準を合わせてきめ細かなチューニングを重ねているはずで、ネイティヴ4Kコンテンツならではの高精細映像の魅力をいち早く楽しみたいという向きは、まずUD20シリーズに目を向けるべきだと思う。

 また、UD20シリーズには「TU-UD1000」同様HEVCデコーダーが搭載されており、映像配信サービス「ひかりTV」でこの10月から開始予定の4K VoD(ビデオ・オン・デマンド)配信にも対応できる仕様となっている。このへんの対応の速さ、先頭を切って新しいことに挑戦する姿勢に、シャープという企業が本来的に持つ腰の軽さみたいなものを実感してしまうのは筆者だけではないだろう。

 さて今回のUD20シリーズ、ネイティヴ4Kコンテンツ対応というだけでなく、2014年版高級テレビとして実によく練り上げられた製品だということもよく分かった。狭額縁のシンプルなデザインのディスプレイ下部に別筐体のスピーカーキャビネットを取り付け、両サイドに脚を用意したその意匠は揺るぎない安定感があり、目にしっくりと馴染む。

独立したキャビネットのサウンドバーを搭載した。「THX 4K DISPLAY」のマークも

 またそのスピーカーも本格仕様で、L/Rチャンネルそれぞれに真円のミッドレンジ・ユニットを2基ずつ充て、その外側にツィーター(高域ユニット)を置き、ステレオフォニックな音の広がりが得られるように留意。また、ディスプレイ背面には低域ユニットを2基用いた「Duo Bass」を配備し、本格的なサウンド・バランスを志向していることが分かる。

UD20シリーズは3Way8スピーカーシステムを搭載。壁に立てかけてあるのが「Duo Bass」。手前は画面下のフロントスピーカーユニット(左)

 実際に聴いたその音は、音圧がきちんと取れて力強く、ニュースのアナウンスや映画のダイアローグもきわめて明瞭(めいりょう)だ。この音質ならそれなりに値の張るサウンドバーや台座スピーカーなどを新たに買い足す必要はまったくないと断言できる。もっとも、4Kテレビの最適視距離といわれる1.5〜2H(画面高の1.5 倍から2倍)まで近づくと、音が画面の下から聞こえる違和感をぬぐい去ることはできず、映像と音像の一致を求めたいと考えると、ソニー「X9200Bシリーズ」のように画面両サイドにスピーカーを配置してほしいとは思う。

 それから実際に本機と向き合って改めてよいと思ったのが、モスアイパネルの効果。ディスプレイ表面に微細な突起を持たせて入射光を拡散させ、部屋の照明などの映り込みを抑えると同時に黒浮きを軽減させるのがこのシャープ独自技術の特長だが、現在主流の光沢パネルのように、映画の暗いシーンなどで自分のマヌケ面が画面にはっきり映り込んでしまうなんてことがなく、これはほんとうに有り難い。黒い鏡のように見える「映り込み」は、本機のような60V型大画面ではひときわ気になるノイズになってしまうからだ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.