一方、いくらヒゲが多くそれたとしても、1本1本のヒゲの根元が肌に残っていては意味がない。ごま塩のように、かえってみっともない状態に残ってしまうからだ。冒頭で触れたように、フィリップスの回転式シェーバーは“深ぞり”という点で、ライバルであるブラウンやパナソニックの往復式シェーバーの後じんを拝していた。
だが、この「9000」シリーズは、「スーパーリフト&カットテクノロジー」と呼ばれる技術によって、“深ぞり性能”という点でも大きな進化を遂げた。
「スーパーリフト&カットテクノロジーは、もともと1980年代初頭に、フィリップスが開発した技術です。内刃が2つのコンポーネントによって成り立っていて、最初のコンポーネントが毛を毛穴から引き出す役割を担い、引っ張り出しところを、後ろの刃がカットする仕組みです。これはフィリップスが持つ技術の中でも、もっとも驚くべき発明だと自負しています。それが進化を続け、9000シリーズにも採用されています」。
もう1つ見逃せないのが、長く使っていても性能が落ちないようにする技術。その筆頭といえるのが「自動研磨システム」だ。外刃の裏側と内刃と接触させて切れ味を保つというものだが、包丁と砥石のような仕組みになっているのだろうか。
「砥石なような特殊な材料を使っているわけではなく、加工のプロセスを工夫しています。外刃はメタルシートを打ち抜く形で原型を取り出すのですが、さらに表面加工をECMS(Electro Magnetic System)という技術で行います。これは高温条件下で硬度を上げる技術であり、それによって外刃の内側の表面が、凹凸がほとんどない非常に滑らかに加工されます。一方、内刃の方は外刃と表面よりも粗く、硬さも柔らかいため、外刃の内側とこすれることで摩耗していきますが。この摩耗の原則を利用して、常にシャープな刃の状態を保つというわけです。硬度の違う金属と金属がこすれることで、切れ味をキープしているのです」。
付属の充電器も進化した。本体をセットし、ボタンを押すだけで、充電、洗浄、乾燥、潤滑化までやってくれるスマートクリーンシステムで、手間なく快適な状態を維持してくれる。もっとも、先代より小さくなったとはいえ、充電器自体がまだ日本の洗面台には大きい。
「たしかに日本で使うにはまだ大きいという意見は正しいと思います。そこは真摯(しんし)に受け止め、将来的にはもっと工夫を重ねていきます。一方、今フィリップスにはバスルームに関する製品を開発をするチームがあるのですが、こことうまく連動する形で将来充電器の設計につながられないかと模索中です。ユーザーの利便性を高めるのは、シェービングだけではなく、クリーニングも同じ。だから洗浄液をワンタッチで交換できるカートリッジ式にしたり、充電、洗浄、乾燥、潤滑化までワンタッチでやってくれる仕組みを作りました。今後もさまざまなアイデアを充電器にも盛り込んでいこうと考えていますので、コンパクト化とともに期待していてください」。
このように、最先端の回転式シェーバー「9000」シリーズには、フィリップスならではの技術が詰め込まれ、“肌に対する優しさ”、“そり残しの少なさ”、“深ぞり性能”を高いレベルで実現した。国内の製品発表会で担当者が「回転式シェーバーを、日本のスタンダードにする!」と息巻いていたのも、十分うなずけるというものだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR