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ウェルバランスなオールラウンダー、ゼンハイザー「URBANITE XL WIRELESS」の実力ワイヤレスで行こう!(3/3 ページ)

» 2015年07月17日 10時58分 公開
[山本敦ITmedia]
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 小沼ようすけのジャズギターを聴いてみても、弦楽器がリズミカルに躍動する様が忠実に描かれる。アルバム「GNJ」から冒頭曲の「Jungle」では、ギターが刻むリズムの正確さと、自然な余韻の広がり方が演奏のリアリティーを高めてくれる。持ち前の解像表現力の高さによって、ディティールの情報を几帳面に引き出しながら、音楽のダイナミズムもよみがえらせるセンスを兼ね備えている。ベースラインは空気ごと力強く押し出してくるパワーと、にごりのないクリアな音が独特のうねりとドライブをつくり出す。アタックのインパクトはしっかりと太く、音の立ち上がりと立ち下がりが非常に俊敏なアスリート的で筋肉質な低音再生だ。パーカッションの乾いた響きが演奏の奥行き方向へのイメージをふくらませてくれる。

専用ケーブルはロック付き。ユニバーサルタイプのリモコンとマイクを搭載する

 最後にシリーズの得意な音楽ジャンルの1つとされているクラブ・ダンス系の楽曲を聴いてみた。ダフト・パンクの「Random Access Memories」から「Doin' It Right (feat. Panda Bear)」では、やはり低域の分厚いボリュームを感じさせつつ、瞬発力のあるタイトで正確なリズムを描き出す。曲の中盤以降、重厚なベースラインにボーカルやシンセサイザーの音が重なってきた時に、明瞭(めいりょう)なセパレーションを確保しながら全体をクリアに見渡せるような透明な空気感が確保できているかという所がこの楽曲を評価する際、1つのポイントになるが、本機の場合はどの音にもにごりがなく、さわやかな余韻が突き抜けていくような心地よさが感じられた。ボーカルの輪郭は明瞭に描かれ、楽器の音色はそれぞれの持ち味が鮮やかに引き出される。このジャンルの音楽が苦手という人にも「アーバナイトで聴いてみれば発見があって面白いかもね」とおすすめしたくなる。

実はどんな音楽ジャンルにも合わせられるオールラウンダー

 全体に音の粒立ちが鮮明で、演奏の情景をリアルに描く傾向。余分な色づけがなく、制作者の意図を忠実に再現する方向での音づくりであるように感じられた。URBANITEシリーズの特徴としてフォーカスされる低域も、量感が太り過ぎずに、スピード感を重視したくっきりとさわやかなイメージが好感触だった。ボーカルにもむやみな色づけがなく、人の声のリアリティーを素直に追い求めることで、音楽から得られる感動を余すところなく引きだそうとする本機のコンセプトには共感できる方も多いはず。また繰り返しになるが、もっとエージングを重ねて行くことで、聴感上の帯域のつながりが良くなって高域の躍動感や低域の深みが増してくる期待感も得られた。

 発表時から豊富なカラーバリエーションが話題を集めたURBANITEシリーズだが、ワイヤレスモデルは当初ブラック1色からのスタート。今後のカラバリ展開も期待したい。ブラックモデルのシックな色合いはビジネスマンのスーツスタイルにも無理なくマッチする。音楽ジャンルやリスニングシーンを選ばないスタンダードモデルとして人気を集めそうなワイヤレスヘッドフォンだ。

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