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伝統工芸と現代量産技術の合わせ技!――南部鉄器の羽釜はこうして作られる滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(2/3 ページ)

» 2015年08月14日 06時00分 公開
[滝田勝紀ITmedia]

工程03:煮えたぎった鉄を固まった鋳型に流し込む

 約1400度に熱した溶湯を鋳型に流し込む「注湯」と呼ばれる作業工程。正確に行うのはもちろんだが、スピーディーに行わないと“巣”と呼ばれる穴が生じやすく、不良の原因になってしまうという。

直径10センチほどの鋳型の注湯口に溶けた鉄を素早く丁寧に、攪拌(かくはん)しないように流し込む

溶けた鉄、250キログラムほどが並べられた鋳型に流し込まれたところ

工程04:冷却後に鋳型をばらして釜の形をした鉄を取り出す

 砂型で成型されて固まった鋳物から、湯道(溶湯を流し込む経路)などを取り除く作業。「ゲートペッカー」と呼ばれる油圧式の機械を用いて行う。冷めて固まっているものの、まだ500度前後とかなり高温だ。

成型されて固まった鋳物が包まれた砂型。ベルトコンベアでどんどん流れてくる

2人1組で特殊な道具などを使いながらどんどん砂型を壊していく

砂型の内側から取り出された内釜の原型である鋳物

工程05:取りきれなかった鉄についた砂をミキサーのなかでさらに落とす

 鋳物に付いた砂を落とす工程。大型洗濯機のような機械に鋳物を放り込み、回転させながら鉄球を当てて砂を落とす。鋳物が洗濯物、鉄球がそれを洗う水といった感じだ。フライパン同士をたたき合わせたような音が響く。

コンクリートミキサーのように巨大なミキサー、ショットブラスト装置に鋳物を放り込むと、ガラーン! と連続的な轟音とともに回転。中では直径1ミリほどの鉄球が無数に鋳物とぶつかる

砂を落とされた後に、取り出された鋳物。まだ方案で流し込まれた際のバリがついている

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