ユーザーが快適にゲームを楽しめるような環境作りにも注力している。ゲームをするには100円硬貨を入れるのが常識だったが、タイトーの各店舗では「マルチ電子マネー端末」を設置。11月にはSuicaやPASMOなど交通系電子マネーにも対応させた。
これだけ電子マネーが普及しているのに、なぜゲームセンターでは使えないのか? という疑問から、導入を検討し始めたという。店舗アンケートでも電子マネーを使いたいという要望が多かった。電子マネーを導入すると、両替を気にせずゲームを楽しめるだけでなく、店側にとっても両替金や集金業務などの手間が省け、接客サービス向上にもつながるなどメリットは多い。
「100円を入れて遊ぶという習慣が根付いているため、最初はなかなか使ってもらえなかったのですが、1度使ってもらうと便利だと思っていただける方が多いようです。交通系導入からまだ1カ月ほどなのではっきりと言えませんが、両替の手間がなくなった分、お金を使うことへのストレスが減って客単価は増えている印象があります」と児玉部長は話す。「一部のコンビニが公表する電子マネーの平均使用率を明らかに上回っており、親和性の高さを感じます。正直設置コストはかかるのですが、将来に向けた投資と考えており、電子マネーだけで遊ぶ店舗の導入も視野に入れています」ということだ。
全国規模の施策だが、やはり都内の方が利用率は高いという。同じゲームセンターといえども、地域や店舗によって客層は全く変わってくる。ハロータイトー 亀有のようにシニアに特化した店もあれば、秋葉原にある「Hey」のように、レトロゲームが充実した店もある。これらはいずれも店長を中心に現場レベルで店作りをしているケースが多いということだ。
また、新宿や秋葉原などは外国人観光客も多く、海外ではあまり見ないゲームセンターに物珍しさを感じて入店するという。
厳しい競争の下、各社はどのような戦略で生き残りを図るのか。今後は100円を次々と投入する“連コイン”文化がなくなる可能性もあり、ゲーセンの有り様は時代と共にさらに変化していくかもしれない。また街の中から1つ懐かしい風景が消えていくと思うと少し切ないが、ユーザーメリットを追求した先にある未来のゲーセンがどんな姿なのかも楽しみだ。
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