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2016年、“ソニーのハイレゾ”はどうなる? ―― ソニーの商品企画担当キーマンに聞いたCES 2016(3/3 ページ)

» 2016年01月10日 21時45分 公開
[山本敦ITmedia]
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DSD録音ができる“ハイレゾ対応”アナログターンテーブルは「日本市場を意識した」

 もう1つ、今年のCESにソニーが出展して話題をさらったオーディオ製品がある。アナログターンテーブルの「PS-HX500」だ。北米地域でも、最近の日本国内の傾向と同様にアナログレコードブームが再燃しているようだ。CESに展示された実機のまわりには、常に多くの来場者で人だかりができていたことからも注目度の高さがうかがえた。

ハイレゾ対応のアナログターンテーブル「PS-HX500」

 本機のユニークなポイントはアナログレコードプレーヤーながら“ハイレゾ対応”をうたっていることだ。なぜかといえば、Win/Mac対応の専用無料PCアプリケーション「Hi-Res Audio Recorder」を使って、アナログレコードを再生した音声を、DSD形式を含むハイレゾ音声のデジタルデータに取り込めるからだ。本体にはDSDネイティブ対応のADコンバーターを内蔵し、独自開発のストレートタイプのトーンアーム、30mm MDFキャビネット、5mm厚ラバーマットやインシュレーターなど高音質設計にもこだわった。フォノイコアンプも内蔵する。

プレスカンファレンスでも大々的に紹介された

 開発意図について北島氏は「世界各国でアナログプレーヤーやレコードのリバイバルブームが巻き起こっている中で、音楽ファンの皆様がお持ちのアナログレコードの資産が再生できて、しかもデジタル変換してハイレゾアーカイブにできる楽しみを提案したいと考えました。ソニーとしては、音楽に、そしてハイレゾにさまざまな楽しみ方で触れていただくことが、ハイレゾの普及につながると考えています。h.earシリーズのバラエティしかり、多様なユーザーの指向性にヒットする製品カテゴリーを広げて行きたいと考えています」とコメントしている。

2016年の「ウォークマン」はどうなる?

 昨年のCESでは、現行フラグシップの「ZX2」がデビューしたが、今年のCESでは「A20」以降の新製品は発表されなかった。気になる2016年の新しいウォークマンの展開を、北島氏に訊ねてみた。

 「残念ながら、今日の時点で具体的なことは申し上げられません。ただ、今年はソニーのハイレゾの拡大戦略として、商品の魅力をカテゴリーごとに個々で訴求するのではなく、例えばウォークマンとワイヤレススピーカー、ウォークマンとサウンドバーといった具合にそれぞれの“つながり”を軸に提案したいと考えています。ウォークマンはハイレゾのコンテンツが楽しめるモバイルプレーヤーとして“どまんなか”にある製品であることは間違いありません。だから単体のポータブルオーディオプレーヤーとして、より音質に磨きをかけることにはもちろん手を緩めることなく全力で注力していきますが、他のハイレゾ対応機器とのつながりの中でも新しい価値を見い出していきたいと考えています」

 2015年のポータブルオーディオのトレンドを振り返ってみると、高音質軸では“バランス対応”が注目を集め、一方で定額制音楽配信サービスの立ち上がりとともに、モバイル環境で音楽を軽快に楽しめる環境が整った。各々のトレンドを、今年もソニーのウォークマンが牽引していくことへの期待感が高まる中で、ソニーが繰り出す次の一手には否が応でも注目が集まる。CESで発表された新製品の国内発売に関する正式アナウンスも待ち遠しいところだが、一方では今年もソニーがハイレゾオーディオの大枠のトレンドを牽引するような、インパクトのある商品とサービスを提案してくれることにも期待を寄せたい。

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