上海問屋から1999円で「ハイレゾ」に対応するとうたうイヤフォンが出てきました。ハイレゾというのはざっくり言うと、CD音源より情報量が多いということ。そしてその楽曲ファイルをハイレゾ音源といい、ハイレゾ音源の情報量を表現できるイヤフォンやヘッドフォンをハイレゾ対応といいます(関連記事)。
正直、「いやいや、2000円でハイレゾって……(笑)」と心の中で思っていました。1万円やそれ以上の価格のイヤフォンを普段から聴いていると、2000円という価格帯のイヤフォンはそもそも選択肢に入らない、というかたもいると思います。私もそちらのほうで、大体いくらくらいの価格帯だとこの程度の音質、という相場が身についてしまっています。その感覚でいえば、2000円ってハイレゾどころか非ハイレゾの音源も十分に再生できないだろう、という思い込みがありました。
それが「2000円でハイレゾって……(笑)」と思ってしまった理由なのですが、思い込みはよくありません。そんなわけで、今回はこの2000円ハイレゾイヤフォンをレビューします。
まず外観から見ていきましょう。ハウジングの直径は約10mmで小さいです。イヤーピースはS、M、Lの3種類が付属しており、ここではMサイズを装着しています。
イヤーピースを外してみたところ。ノズル径は約5mmです。
スペックとしては7mmのダイナミックドライバーで、再生周波数帯域は5Hz〜40kHzとなっています。スペック表にないので明らかではありませんが、ケーブルも銅であることを強調するような透明ケーブルとなっており、ちょっと高級感がなくもないです。
Y字ケーブルなので、装着方法は単純に耳に差し込んでそのままケーブルを下に垂らすのでもいいですが、ケーブルを耳の後ろに回す「シュア掛け」もできます。ケーブルはまあまあ柔らかいため、シュア掛けをしていて特に違和感はありません。こちらのほうがケーブルのタッチノイズが耳まで伝わりにくく、イヤフォンが耳から外れにくくなるのでおすすめです。
では音楽を聴いてみます。ハイレゾでは宇多田ヒカルの「Automatic」「First Love」(96kHz/24bit Flac)あたりを聴いてみました。非ハイレゾではアイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ速水奏(CV:飯田友子)の「Hotel Moonside」やSupercellの「Perfect Day」をチョイス。
はっきりと書いていきましょう。いずれも女性ボーカルの曲なので、まずボーカルの聴感が大事になってきますが、あと一歩豊かさが足りません。高音もシンバルの解像や余韻が「あとちょっとなんだけれど……」というところ。一方で低音のドラムやベースは前に出過ぎず、かといって輪郭がぼやけているわけでもなく、なかなか良く仕上がっています。
ここまでの評価を見て、「ああ、また低音だけのイヤフォンなのね」と思われたかもしれません。しかし、上記の評価は「ハイレゾ」という高い理想に対しては「あと一歩足りない部分があるね」ということ。そこを目指さなければ、このイヤフォンはかなり良い線を行っています。中高音域に関して「あと一歩」と書きましたが、ダイナミックドライバーにしては良く鳴っています。バランスドアーマチュアドライバーで真面目に高音域に力を入れているイヤフォンにはさすがに及ばないね、というくらいです。
何よりも、2000円なんですよこれ。2000円でここまで頑張るイヤフォンは少なくとも自分は初めてで、びっくりしました。びっくりして出た感想が「えっ、2000円!? 安いですね!」というこの記事のタイトル。どこかで見たことある感想の気がしますが。
数あるイヤフォンの中でトップレベルの音がするイヤフォンではありませんが、低域から高域まで全体的な水準は高めです。「2000円くらいで良いイヤフォンないかな」と聞かれたら間違いなくこれを推しますし、「5000円くらいで」と聞かれてもこれを推します。「1万円くらいで」と言われたら選択肢の1つとしては出しますが、おそらく別のイヤフォンを推すでしょう。私の価格と音質の相場感としてはこれくらいの評価となります。
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