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RAWデータはこういうときに力を発揮する(1/4 ページ)

» 2017年05月12日 12時41分 公開
[荻窪圭ITmedia]

 「ローデータって何がいいの?」と聞かれたのである。

 ロー、あるいはロウは「RAW」。RAWデータ。RAWは「生の」という意味。raw meatなら生肉。

 最近、iPhoneがRAWデータの撮影に対応したってちょっと話題になった。

 RAWデータってなんだろう。

RAWデータは生データ

 デジカメで写真を撮る。

 まずレンズを通った光がイメージセンサーに当たり、電気信号になる。この時点ではまだアナログデータだ。このデータがカメラ内でデジタルデータに変換される。このままでは写真として使い物にならないので、デジタル画像処理を施し、JPEGデータに変換して記録メディアに保存する。

 大ざっぱにいえばこれが撮影時の一連の流れだ。

 で、デジタル画像処理を施す前のデジタルデータが「生データ」つまり「RAWデータ」だ。

 RAWデータはそのままでは使えないので、それを処理して画像データにする作業を「RAW現像」あるいは単に「現像」という。

 ちなみに、ときどき写真をプリントすることを「現像する」と呼ぶ人がまだいてむずむずするけれども、それは単なる「印刷」であって、「現像」とは何の関係もありません。フィルムカメラの時代に、撮ったばかりのフィルムをお店で「現像」+「プリント」をセットでしてもらってたので、プリントすることを現像すると間違えて覚えてしまった人がいたのだろうなあ。

 で、ほとんどのデジカメは画像保存形式として、JPEGの他にRAWを選べる。なぜわざわざRAWデータがほしいのだろう。

 1つは「自分で画作りをしたい」から。

 JPEGというのはカメラ内で生データを現像した結果だ。でもカメラ任せの現像ではイメージ通りに仕上がらないこともある。

 RAWデータで保存しておいて、自分で現像処理を行えば自分のイメージ通りの写真に仕上げることができる。

 もう1つはディテールが重要な写真を必要とするから。あとからレタッチして仕上げるとき、RAWデータの方がディテールを生かせる。大きくプリントしたいときはRAWで撮影し、自分で仕上げたい。

 JPEG画像でもあとから修正・加工できるのでRAWデータで撮らなきゃダメってことはないんだけど、RAWデータには撮影時に得られた情報全てが詰まっているので、あとからいじるための余地がすごく大きいのだ。

 分かりやすい違いを2つ見てみよう。

RAWデータならホワイトバランスも自由自在

 一番分かりやすいのがホワイトバランス。

 実は写真のホワイトバランスって「現像時」に調整しているので、生データには「ホワイトバランスを決める前」のデータが入っているのである。

 ここに1枚の夕日の写真がある。まあ普通の夕日である。フルサイズのデジタル一眼レフで撮影した夕日の写真だ。

 これのRAWデータをAdobeの「Photoshop Lightroom」というソフトで開いたのがこちら。RAWデータをLightroomで開くと、Lightroomが自動的に標準的な手法で現像して表示してくれる。まあ目に見えているのは常に現像後の状態であると思っていい。

 それがこれ。

 右に画像を処理する項目がいっぱいあるんだがここで「WB」(ホワイトバランス)に注目。

 試しにこれをめいっぱい左にスライドしてみよう。

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