日本に比べ寒冷なドイツでは全エネルギー消費のおよそ半分を暖房が占めている。古い家屋の壁や窓を改修し建物の断熱効率を高めたり、木材ペレット・太陽エネルギーなど再生可能エネルギーを利用することも可能で、この分野の改善余地は非常に大きい。
現在、暖房エネルギーの主流は天然ガスと石油であり、特にコジェネレーション(熱電併給)の普及が効果的と考えられている。発電効率の高い火力発電所であっても発電効率はおよそ40%であり、コジェネレーションであれば残り60%の熱エネルギーも有効利用できる。
もっと小型のコジェネレーション(例えば各建物に備え付けられる小型ボイラー)も可能であり、その燃料を再生可能エネルギー(木材ペレット、木材チップ、バイオ燃料など)にできればさらに理想的だ。コジェネレーションによりエネルギー利用効率を90%(電力40%+熱50%)まで高めることができる。
ドイツ国内で発生する温室効果ガスのおよそ20%は交通部門に由来する。
今でこそ消費者は自動車を購入する際に二酸化炭素排出量やエコ度を気にするが、こうした傾向はかなり新しいものだ。小型車や中型車が人気を集めるようになり、馬力ではなく二酸化炭素排出量の少なさが重要な購入基準になってきたのはここ2、3年のこと。2007年のフランクフルト・モーターショーでは各メーカーがエコカーの展示に力を入れていたが、世界的なモーターショーでエコが強く意識されるようになったのはこの頃だと思う。
EU(欧州連合)は2012年の新車の環境性能目標を「二酸化炭素排出量130グラム/キロ」程度としている。これを2020年までに95グラム/キロへ引き上げる予定であり、自動車メーカーには更なる技術革新が求められる。
国内の交通量は今後も増加するが、
地球温暖化についての科学的な研究情報の収集・整理を行う政府間機構「IPCC」の報告によると、地球の平均気温は直近の100年間に0.74度上昇している。これまで経験したことのない未曾有の上昇スピードであり、その主な原因は人為的なもの、つまり温室効果ガスとされる。気候問題は国を超え、地球全体で取り組まなければならない課題であり、国際協力が欠かせない。先ごろ開催された第15回気候変動枠組条約締約国会議(COP15)において、2030年に向けた温室効果ガス排出削減の具体的目標が定められた。
ドイツの2030年の目標はさらに厳しく1990年比で50%削減。環境政策で世界のトップを走り続ける野心的な目標、そしてドイツの決意の表れでもある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング