「結構です」は肯定? 否定?日本人が気づいていないヘンな日本語(3/3 ページ)

» 2013年03月19日 08時00分 公開
[デイビッド・セイン, 長尾昭子,Business Media 誠]
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もともと「結構です」に否定の意味はなかった

book 『日本人が気づいていないちょっとヘンな日本語』(アスコム)

セイン:つまり、3番目の場合だけが否定の意味になるんですね。これから気をつけます。ちなみに、同じ言葉なのにどうして反対になるんですか?

長尾:本来、「結構です」には否定の意味はないんです。3番目の場合も、「私は充分満足しているから、これ以上はいりません」と遠慮の気持ちを表したものなんです。それが、結果として否定になっているわけです。

 だから、否定的な「結構です」は、必ず相手からの提案に対してのものなんですね。そこに注目すれば、誤解しないと思いますよ。巻頭のマンガのような場面では、相手が「ぜひお願いします!」という意味で「結構です」を使うことは、あまりないです。

セイン:「提案」に対して「遠慮」しているから否定になるんですね。ややこしいですね……。

長尾:日本人もそう感じていますよ。電話セールスの悪徳業者などは、客が「結構です」と断ったのに、羽毛布団や変な彫刻を送りつけて「結構ですねとOKしたじゃないか」と高いお金を請求するそうです。日本語のあいまいなところをついた詐欺商法です。

 そもそも「結構」というのは、もともとは中国で建物の構造や文章の構成など、ものごとの組み立て方を意味する言葉だったんです。それが日本に来てから意味が広がってきて、計画や準備のことを指すようになりました。さらに広がって、その計画が「よろしい」と評価する使い方が生まれたのです。

セイン:なるほどね。とりあえず、悪徳業者と思われたら困るので、もう「結構です」は間違えません(笑)。

(つづく)

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