「保険の約款」を読んで、理解できますか?マネーの達人(2/2 ページ)

» 2014年08月12日 07時00分 公開
[伊藤克己,マネーの達人]
マネーの達人
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約款を捨ててしまったら?

 実は、保険会社やその代理店は、細かい文言訂正や商品改定のたびに約款の旧版を廃棄しています。ですので、捨ててしまったのであれば、保険会社に約款の再交付をお願いしましょう。この場合、冊子ではなく全ページのコピー版が届くところが大半かと思います。

 加えて注意してもらいたいのは、同じ商品名(またはペットネーム)であったとしても、加入時期によって商品の中身、つまり保障内容や保険料は異なっていることがほとんどです。例えば、ある保険会社の医療保険に加入していたとして、自分が加入した時期の商品内容と今加入する場合の商品内容は異なる――、つまり約款も異なるということです。

 また、契約時にはたくさんの書類が作成されます。保険設計書のほか、契約時に交付された約款や保険証券などがありますが、保管する上での優先順位としては、後で再発行が困難なもの――、保険設計書と約款などがそれにあたります。

 特に、保険設計書は料率改定後や販売終了後は再発行がほぼ不可能になりますので、大切に保管してください。

約款の読み方

 約款には、読み方があります。契約のしおりに目次がありますので、その目次から気になる箇所をチェックし、その契約のしおりに書いてある内容を最初に読んでください。そうすると、詳細は約款の何ページを見てくださいと指定してきますので、約款の指定されたページを開きます。最近は、契約のしおりのあとに合本されているのがほとんどです。

 次に、「具体的には別表を見てください」と指定してくる場合もあります。別表は巻末にまとめられているケースが多いので、そこまで確認できればOKだと思います。辞書を引くように目次からたどって読むといいと思います。

 また、約款の文章は誰が読んでも誤解がないように書かれているので、会社の法務部や弁護士がつくるような「契約書」を読むのに慣れている人にとっては、逆に分かりやすい書き方だと思います。

 昔は約款というと、薄っぺらな小さい紙面にびっしり細かい字で書かれた冊子というイメージでしたが、昨今はそういう不満を解消するために、紙約款はA4サイズなどの大型本で、大きな文字で書かれるようになりました。

 ただ、生保の約款については、紙からCD-ROMへ移行しつつあり、現状は契約者がどちらかを選べるようにしているところがほとんどです。

 保険に関して、「罠」だの「だまされる」だのと書かれている記事や書籍を見かけますが、これも保険約款をほとんど読まない当事者間(募集人と契約者間)で発生している問題ではないかと思います。

 約款内容を理解している募集人は、契約者が誤解しやすい箇所や重要事項をきちんと加入前に説明できますし、契約者側も約款を読む習慣が多少でもあるなら、募集人に対して加入前に気になる点をいろいろ質問できるわけです。そういう習慣があれば、自分に相応しくない保険に加入することもないですし、結果、だまされるなんてこともないわけです。(伊藤克己)

著者プロフィール:

伊藤克己

ゆうゆうFP事務所 代表FP

電機・半導体メーカー退社後、外資系生保と乗合代理店で実務を学び、独立系FP事務所を開業。

リスク・ファイナンシングを現場実践している「実践派FP」として顧客利益優先に活動。


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