仕事のデータベースをiPhone/iPadで効率よく活用する――「FileMaker Go」:App Town ビジネス
ファイルメーカー社のPCソフト「FileMaker Pro」で作成したデータベースをiPhoneやiPadで利用できるアプリ「FileMaker Go」。本稿では「FileMaker Go」の便利なリモートアクセス機能や、知っておくと役立つ便利機能について解説しよう。
「FileMaker Pro」は、データベースを手軽に作成できるファイルメーカー社のソフトウェア。このソフトで作成したデータベースをiPhone/iPadで利用できるアプリ「FileMaker Go」が発売されている。同アプリでは、FileMaker Proの多くの機能を利用できるほか、作成したデータベースにリモートアクセスして情報の編集、検索などを行える。本稿では、同アプリの便利なリモートアクセス機能や、データベースをより快適に活用するための機能を紹介する。
「FileMaker Pro」でできること
FileMaker Proは前述の通り、WindowsやMacで利用できる、データベース作成ソフトだ。国内外の企業はもとより、大学や専門学校をはじめとする教育機関や医療機関などで幅広く利用され、利用者数は数百万人に上る。加えて、その操作体系の分かりやすさから、こうした専門機関だけでなく、個人ユーザーにも受け入れられているのが特徴だ。
主な機能は、さまざまなニーズに合ったデータベースを簡単に作成できることだが、それ以外にもExcelのスプレッドシートのような形式でレポートを作成できる機能や、作成したデータベースをWeb上に公開できる便利な機能も備えている。ユーザーのレベルを問わず、目的に応じて自由にデータベースを作り込めるのが同ソフトの最大の魅力といえるだろう。
昨今はiPhoneやiPadをはじめとする高機能のモバイル端末が広く普及しており、FileMakerユーザーの多くが対応を待ち望んでいた。こうしたニーズに応える形でiPhone/iPad用のFileMaker Goがリリースされた。
iPhone/iPad向け「FileMaker Go」では何ができる?
FileMaker Proのアプリ版「FileMaker Go」は、iTunes App StoreでiPhone用の「FileMaker Go for iPhone」が2300円、iPad用の「FileMaker Go for iPad」は4600円で提供され、iPhone版はiOS 4.0以降、iPad 版はiOS 3.2以降にそれぞれ対応している。前述の通り、FileMaker Proで作成したデータベースにリモートでアクセスできるのが最大の特徴だ。
さらに、FileMaker Proで利用する場合と同じようにデータベースの表示や編集、検索、レイアウトの切り替えなどの基本操作に対応するほか、タブコントロールやWebビューアなどを利用した情報の閲覧や、外部SQLデータソースの接続なども行える。ファイル形式については、FileMaker Pro 7以降の「.fp7」であれば、ほとんどのデータを利用できる。
iPad版とiPad版のインタフェースは各端末の画面サイズに最適化した仕様になっている。iPad版は、アプリを起動すると端末内のデータを表示する「デバイス上のファイル」が左側に、リモートアクセスしたデータとホスト先のPCを表示する「リモートファイルとホスト」が右側に表示される。各種設定などの操作は画面右上の設定ボタンで、ホストの検索や追加などは「リモートファイルとホスト」の右上に配置されたボタンで行える。
iPhone版には「最近使ったファイル」が大きく表示されるシンプルなインタフェースを採用。各種設定などの操作は画面右上の設定ボタンで行えるほか、画面左上のヘルプボタンでFileMaker Goの使い方を確認できる。また、画面上部の「ファイルブラウザを開く...」ボタンをタップすると、「デバイス上のファイル」を表示できるほか、リモートアクセスしているデータには「ローカルネットワークホスト」で接続できる。「お気に入りのホスト」の項目では、ホスト先のPCの情報や、新規ホストの追加を行える。
iPhone/iPadからデーターベースにアクセスする
FileMaker GoでFileMaker Proのデータベースにアクセスするには、主に3つの方法がある。1つは、Wi-Fi/3Gネットワークかローカルのネットワークを介して、FileMaker ProやFileMaker Serverでホストされているデータに接続する方法。この方法だと、iPhone/iPad側で書き加えたすべてのデータが、ホストされているFileMaker Proのファイルに即座に反映される。タイムラグが最小限に抑えられるので、複数人でデータベースを共有する場合に便利だ。
2つ目は、iTunesのファイル共有機能を利用する方法。まずiPhone/iPadをPCに接続し、Tunes上の「デバイス」よりiPhone/iPadを選択し、上部メニューから「App」を開き、「ファイル共有」画面でFileMaker Goを選択。後は画面右に配置された「FileMaker Goの文書」欄に、ファイルをドラッグ&ドロップするか、「追加」ボタンをクリックして「ファイルを選択」で任意のファイルを選ぶだけで簡単にiPhone/iPadにファイルを転送できる。ただし、この方法で行えるのはあくまでもファイルの「コピー(転送)」のみだ。データベースの「同期」はサポートされていないので、個人で使用しているデータベースを利用するのに適した方法だといえる。
iTunesにiPadを接続して「App」を選択。「FileMaker Goの文書」の欄にファイルをドラッグ&ドロップするか、「追加」でファイルを指定すると、iPhone/iPadにデータをコピーできる
そして3つ目は、メールやファイル転送サービス、Webからファイルをダウンロードする方法だ。受信したメールに添付されたファイルを開く場合は、ファイルをタップすると、どのアプリで開くかを選択できるメニューが表示される。ここで「“FileMaker Go”で開く」を選択すればファイルを開ける。また、Web上にアップロードされたファイルの場合も同様に、ファイルを開くためのアプリの候補が表示されるメニューで、FileMaker Goを選択すればよい。
iPhoneからデータをPDF化してメール送信する
以上の3つがデータベースにアクセスする方法だが、FileMaker GoはFileMaker Proで利用できる機能もサポートしており、PC版のソフトウェアのユーザーが問題なく使いこなせる仕様になっている。
その1つが、データベースの一部をPDFで保存し、Eメールで送信できる機能だ。この機能を利用するには、画面右上の「メニュー」ボタンをタップし、表示されるメニューの中から「保存/送信」を選択。次いで表示されるメニューで「PDF…」をタップし、「メールで送信」を選ぶ。すると、メールが起動し、PDF化したデータが添付される。PDF化してからメールに添付するまでの一連の操作をスムーズに行えるので、外出先でデータを送信する必要に迫られた場合などに役立つだろう。
データベース自体のコピーを保存してEメールに添付して送信する機能も備えている。こちらもPDFのデータをEメールで送信する機能と同様に、「メニュー」ボタンをタップし、「保存/送信」を選択。ここで「データベース...」を選び、「メールで送信」を選択するだけで、メール画面が起動し、データベースのファイルがメールに添付される。
このほか、写真を利用したデータベースにiPhoneで撮影した写真を追加できる機能にも対応している。手軽に利用できるiPhoneのカメラで撮影した写真を追加できるので、より手早くデータベースを作成できる。
ここまで、FileMaker Goでデータベースにアクセスするための方法や、便利機能を紹介してきたが、具体的にはどのような活用例があるのだろうか。ファイルメーカー社のWebサイト(外部リンク)では、「倉庫の在庫チェック」「客先での売り上げ伝票の発行」「出荷や入荷のトラッキング」「イベント現場での出欠チェック」「出張中のプロジェクトステータスの更新」などが紹介されているが、これらはほんの一例に過ぎない。本アプリの手軽な操作性を体感すると、発想次第でさらにユニークな使い方ができるだろう。さほど知識がなくても使いこなせるFileMaker Proの可能性をさらに広げるアプリとして、FileMaker Goは十分な実用性と機能性を備えている。
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