スマートフォンの“進化の息吹”を感じた2009年:ITmediaスタッフが選ぶ、2009年の“注目ケータイ&トピック”(編集部園部編)(2/2 ページ)
2009年は、スマートフォンにまつわる話題が多く誌面を彩った1年だった。iPhoneだけでなく、AndroidやWindows Phoneに関するさまざまなニュースが流れ、読者の関心も高かった。いよいよ本格的にスマートフォンが広がり始めるのではないか、と思わせる出来事が多かった印象だ。
薄型多機能の「940N」、一番auらしさを感じたiida「G9」
まだ発売されたばかりで評価を下すには少々早い気もするが、NECの「940N」は、薄型のボディに無線LANを搭載するなど、機能の凝縮具合に驚かされた1台。ソフトバンクモバイルの端末は、シャープ製の全部入り端末がいつも目を引き、そのほかのメーカーのモデルは今ひとつぱっとしないことも少なくないが、2009年冬モデルとして発表された940Nは、最新サービスの「ケータイWi-Fi」に対応し、810万画素CMOSカメラやモバイルウィジェットなどもサポートしつつ、厚さは13.9ミリを実現し、存在感を放っていた。イルミネーションでNEC端末らしさも表現しており、この冬気になったモデルの1つだ。
そのほか、新しいコンセプトで立ち上げられたiidaブランドの1号機として登場したソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの「G9」の質感の良さが印象に残っている。岩崎一郎氏による、金属素材を用いた高品位なデザインと、手に持ったときのほどよい重量感はとても魅力的だった。iidaの端末は、デザインを重視するせいか機能面でやや不満を感じるものが多いが、G9は素直に欲しいと思ったモデルだ。
TV&バッテリーと「テレビ」アプリ
ソフトバンクBBが発売したiPhone向けの周辺機器「TV&バッテリー」は、端末ではないが、とてもエポックメイキングなアイテムだった。機器の発売は2008年12月末だったが、対応アプリの配信が1月1日だったので、今年の出来事としてぜひ触れておきたい。
TV&バッテリーは、iPhone 3Gの発売後に寄せられた「絵文字が使えない」「ワンセグが見られない」といったユーザーからの不満を解消すべく、ソフトバンクグループで取り組んだ“日本向けカスタマイズ”の1つとして誕生した製品だ。無線LAN経由で映像を伝送するという、ユーザーをあっと驚かす離れ業でiPhoneでワンセグ視聴を可能にしてしまった。周辺機器としてはかつてないほど売れたといい、大いにユーザーの期待に応えた製品だった。
その後バージョンアップを繰り返し、最初は本当にワンセグを見るだけだった機能が徐々に強化され、縦横切り替えや上下反転表示、視聴画面からのチャンネル切り替えなどもサポート。将来的にはワンセグの録画も実現すべく、現在開発を進めているという。
以上、ざっと注目した端末を挙げてきたが、2009年は全体的にワクワクさせられる端末は少なかったように思う。iPhone 3GSにしても、正常進化ではあるが革新的な変化ではなかったし、Android端末にもものすごく驚かされたわけではなかった。
しかし2010年は、2009年以上に話題も豊富で面白くなりそうだ。前述のとおり2010年前半には、ソニー・エリクソンやシャープなどからAndroid搭載端末が登場予定となっているほか、年明け早々にはGoogle自らが販売すると噂される「Nexus One」も登場するといわれている。次世代のiPhoneの噂もすでに出回っており、iPhone 3Gから3GSへの進化以上の大きな変化が訪れそうな気配だ。
iPhoneの登場から2年が経過する2010年は、迎え撃つ日本の端末メーカーが、“iPhone以降”に開発をスタートしたモデルが出てくる時期でもある。そろそろ「こういうケータイが欲しかった!」と発表会でうならされるような端末が出てきてもいいころだ。日本メーカー、そして日本の通信キャリアの商品企画力に大いに期待しつつ、2010年を迎えたい。
関連キーワード
iPhone | スマートフォン | Android | iPhone 3GS | HTC Magic | G9 | Androidケータイ | HT-03A | SH-04A | 940N | BlackBerry Bold | iida | SH-01B | SH-06A | ソフトバンクモバイル | QWERTY | Wi-Fi | App Store | インターネットマシン 922SH | ケータイWi-Fi | N-02B | Nexus One | SH-03B | Windows phone
関連記事
- 高速化した「iPhone 3G S」、6月26日発売──OS 3.0は6月17日配信
米Appleは6月8日(現地時間)、iPhone OS 3.0の概要と、新OSを搭載した「iPhone 3G S」を発表した。iPhone 3G Sは6月19日から出荷を開始、日本では26日から販売を開始する。OS 3.0のアップデートは6月17日から提供する予定だ。 - もうiPhone 3Gには戻れない──iPhone 3GSは「iPhoneの世界」を加速する
iPhone 3GとiPhone 3GSは、外観に大きな違いがないこともあり、「今回は見送りでいいかも」と思っている読者も多いだろう。しかし、一度iPhone 3GSの「スピード」に触れてしまうと、もうiPhone 3Gには戻れなくなると感じた。 - Androidケータイ日本上陸 “HTC Magic”がドコモから登場――「HT-03A」
HTC製の「HT-03A」は、HTC Magicをベースにした国内初のAndroidケータイ。約3.2インチのハーフVGA液晶はタッチパネル操作が可能で、トラックボールも備えた。HSDPAと無線LANにも対応し、Googleの豊富なWebサービスを手のひらで利用できる。 - 写真で解説する「HT-03A」(外観編)
ドコモ2009年夏モデルの中で最も大きな話題となっている国内初の“Androidケータイ”「HT-03A」。タッチパネルとトラックボールで軽快に操作でき、iPhoneとWindows Mobileのいいところを取ったような端末だ。iPhoneなどとの比較も交えながら、ハードウェアの主なポイントをチェックした。 - 写真と動画で解説する「HT-03A」(ソフトウェア編)
国内初の“Androidケータイ”「HT-03A」の特徴は、やはりAndroid OSによるオープンプラットフォーム環境と各種Googleサービスとの連携が可能な点だ。またAndroidマーケットから追加したアプリは、マルチタスクによって作業を中断することなく利用できる。 - 「BlackBerry Bold」発売――「端末購入サポート」でバリュー新規一括が4万円台前半に
ドコモのスマートフォン「BlackBerry Bold」が発売。都内量販店では、バリューコース新規一括で7万2030円、24回払いで月々1645円と案内されていた。さらに、「端末購入サポート」を適用すると、端末代や頭金が3万1500円割り引かれる。 - 写真と動画で見る「BlackBerry Bold」
ドコモから2008年度第4四半期(2009年1〜3月)の発売が決まったBlackBerryの最上位モデル「BlackBerry Bold」。その外観と、従来の「BlackBerry 8707h」とは変わったポイントを簡単に紹介しよう。 - 写真で見る「BlackBerry Bold」Whiteモデル
従来のBlackモデルからがらりとイメージが変わったことで関心を集めている「BlackBerry Bold」の新色Whiteの実機を入手。広報写真からは分からなかった、独特の光沢感などを写真で紹介しよう。 - iモード対応のQWERTYキー+タッチパネルケータイ──「SH-04A」
ソフトバンクモバイル向けに「インターネットマシン 922SH」を投入してユーザーを驚かせたシャープが、ドコモ向けにQWERTYキーボード+タッチパネル搭載の横スライド端末をリリースする。スマートフォンの操作性を持ちつつ、キャリアサービスにフル対応するのが特徴だ。 - 写真で解説する「SH-04A」
QWERTYキーボードやタッチパネルディスプレイを搭載した、PROシリーズに属する端末ながら、ドコモのiモードサービスが利用できる「SH-04A」は、これまでのドコモ端末にはなかったユニークな全部入り端末だ。 - 10MピクセルCCDカメラを搭載した“AQUOS SHOT”──「SH-06A」
PRIMEシリーズに属するシャープの「SH-06A」は、カメラを10MピクセルCCDに強化したデジカメケータイ。新たなブランド名”AQUOS SHOT”を冠し、ケータイカメラの性能をとことん追求した高機能モデルだ。 - 12.1MピクセルCCDを採用した新世代“AQUOS SHOT”――「SH-01B」
各社の最新ケータイが12Mピクセルオーバーのカメラを搭載する中、デジタルカメラケータイのブランド“AQUOS SHOT”を持つシャープからも、12.1MピクセルCCDを搭載したカメラケータイ「SH-01B」が登場する。 - Wi-Fiで高速インターネット、PCメールもケータイで――スリム端末「940N」
ソフトバンクの「940N」は、13.9ミリのボディに多彩な機能を盛り込んだ薄型ハイスペック端末だ。ケータイからのPCメールの送受信に対応したほか、無線LANを利用した高速インターネットも楽しめる。 - 写真で見る「940N」
ソフトバンクの「940N」は、ハイスペックな薄型モデル「930N」の後継機。スリムなボディと多彩な機能は継承しつつ、新たにケータイWi-FiとPCメールに対応して機能をさらに充実させた。 - なめらかな金属で上質感を表現――iida第1弾端末「G9」
au携帯の新ブランド「iida」の第1弾モデルとして登場する「G9」は、プロダクトデザイナーの岩崎一郎氏が手がけた携帯電話。フレームにステンレス、キーにアルミを採用するなど、金属の質感にこだわった。 - 写真で解説する「G9」
ステンレスを用いた上質感あふれるボディが目を引く「G9」は、auの新ブランド「iida」の第1弾として登場する。デザイン、機能、グラフィックを中心に詳細をリポートしよう。 - TV&バッテリー発売――「テレビ」アプリも配信開始
ソフトバンクモバイルが12月31日、12月中旬以降の発売予定としていた「TV&バッテリー」の販売をスタートした。またTV&バッテリーを活用するための専用アプリ「テレビ」も1月1日からApp Storeで配信が始まった。 - iPhone 3Gでワンセグ視聴──「TV&バッテリー」を使ってみた
iPhone 3G専用のワンセグ視聴オプション「TV&バッテリー」の販売が、いよいよ1月9日から始まった。12月31日から一部のソフトバンクショップで先行販売が始まったTV&バッテリーと、先日早くもアップデートされた「テレビ」アプリ1.0.1を使って、その使用感を確認してみよう。 - iPhone 3Gの「TV&バッテリー」用アプリがバージョンアップ
iPhone 3Gでワンセグの視聴を可能にする「TV&バッテリー」用アプリがバージョンアップ。無線LAN接続時の自動検索や起動、チャンネルのオートスキャンなどが可能になった。 - “iPhoneでワンセグ”がより快適に──「TV&バッテリー」の機能が向上
iPhone 3G用のワンセグチューナー兼外付けバッテリー「TV&バッテリー」を販売しているソフトバンクBBが、専用アプリ「テレビ」の最新バージョン1.20をリリースした。これまでのユーザーからのフィードバックを元に、さまざまな機能の向上を図っている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.