「Wi-Fi WALKER WiMAX2+ NAD11」の登場で思うこと/進むSIMロック解除とSIMロックフリー端末投入:ルータープリンスの「5分で知る最近のモバイル通信&ルータ事情」(2/2 ページ)
NECアクセステクニカ(現NECプラットフォームズ)製のWiMAX 2+対応モバイルWi-Fiルーター「Wi-Fi WALKER WiMAX2+ NAD11」が登場。総務省はSIMロック解除を義務付ける方針だが、一方でメーカー主導でSIMフリー端末販売の流れも加速している。
総務省、SIMロック解除を義務化へ――恩恵は少ない?
総務省は、「ICTサービス安心・安全研究会」での議論として、消費者保護ルールの見直し・充実に関するワーキンググループ中間取りまとめ(案)を公開した。取りまとめ案では、通信事業者から販売される端末のSIMロックについて「端末に最初からSIMロックをかけないか、仮にSIMロックをかけるにしても、少なくとも一定期間経過後は、利用者の求めに応じ迅速、容易かつ利用者の負担なく解除に応じることが適当」とし、SIMロック解除を義務付ける方針となる。
総務省主導でのSIMロック解除については、2010年に策定された「SIMロック解除に関するガイドライン」により、事業者の主体的取り組みによるSIMロック解除の実施を求めたが、大手3キャリアの中でSIMロック解除に対応しているのはドコモ端末(一部を除く)とソフトバンクモバイルの一部端末となっており、SIMロック解除対応端末は広く普及しているとは言い難い。
SIMロック解除の義務化はユーザーにとっていいことづくめであるかのように伝えられているが、必ずしもそうではない。通信事業者は、原則として他キャリアのネットワークに接続してのサービスや通信の利用は保証外としている。また、例えばソフトバンク端末のSIMロックを解除してドコモのSIMカードで利用した場合に、ネット接続に必要な設定を自分で行う必要があるほか、利用可能なエリアが本来のソフトバンクのエリアよりも狭くなることもあり得る(当然、その逆の組み合わせも同様にありえる)。
また、3Gの通信方式が異なるauでは、ドコモやソフトバンクモバイルの端末をSIMロック解除して使おうとしても音声通話ができないなど、ユーザー側で各社のサービス内容や端末の仕様を把握して使わない限り、従来と同様のサービスが利用できなくなる。端末+ネットワークがセットで提供される現在の仕組みに比べて、ユーザーの自己責任による部分が大きくなるといえる。
総務省の議論では、携帯電話の契約と販売についてクーリングオフを導入するとしているが、通信事業者が端末と通信サービスをセットで販売している現在も、トラブルはゼロにはなっていない。そんな中、通信事業者にSIMロック解除の対応を義務付けたところで、SIMロック解除による恩恵を受けられるユーザーは多くないのではないだろうか。
AppleやHuaweiがSIMロックフリーモデルを国内で発売
総務省主体でのSIMロック解除の流れとは無関係に、メーカー主導でSIMロックフリー端末を販売する流れも加速している。
Appleは7月2日、iPad AirやiPad mini RetinaなどiPadシリーズの「SIMロックフリー」モデルの販売を開始した。現在はオンラインストアのみの取り扱いとなっているが、近日中に店舗でも発売される可能性が高い。
iPhone 5s/5cと同様にiPadもSIMロックフリー版が発売される可能性は高かったが、ドコモ版iPadの販売開始から1カ月とたたない間に発売された。
現在、iPhoneやiPadは国内の主要3キャリアから販売されているが、SIMロックのかけられているキャリア版のiPhoneやiPad以外に、Appleが公式に販売する「SIMロックフリー版」を入手しやすくなり、ユーザーの選択肢が広がったのはうれしい。ただ、前回の記事(→au初のMVNOが好調/ドコモ版iPad発売とテザリング封じの関係/auのWiMAX 2+スマホは速度制限あり?)でお伝えしたように、MVNOのSIMカードを利用した場合はテザリングが利用できないので注意したい。
Appleと同じく、Huaweiも自社端末を「SIMロックフリー」仕様で国内販売を開始している。第1弾として、Ascend G6を投入。2014年内に合計で5機種のSIMロックフリースマートフォンやタブレットの投入予定を明らかにしており、国内でのSIMロックフリーモデルの販売拡大を目指している。
ソフトバンク、フルセグ対応のモバイルWi-Fiルーター「Pocket WiFi 304HW」を投入
ソフトバンクモバイルは、フルセグチューナーを搭載するHuawei製のモバイルWi-Fiルーター「Pocket WiFi 304HW」(以下、304HW)を7月18日に発売する。
304HWの最大の特徴はフルセグチューナーを内蔵していることで、iPhoneやiPadなどワンセグやフルセグを搭載していないスマートフォンやタブレットでも、専用のアプリを利用することでテレビの視聴が可能となる。なお、304HW単体ではテレビの視聴はできない。
通信面では、下り最大110MbpsのSoftBank 4G、下り最大75Mbpsのイー・モバイルの1.7GHz帯や3Gで下り最大42MbpsのULTRA SPEED(1.5GHz帯)などに対応するほか、よりエリアの広いSoftBank 3Gの2.1GHz帯にも、発売当初から対応する。
SoftBank 4Gに対応するモバイルWi-Fiルーターでは、発売中の「Pocket WiFi 203Z/301HW」がソフトウェア更新によって3Gの2.1GHz帯に対応する予定だが、304HWでは発売時点で3Gの2.1GHz帯をサポートするため、従来のSoftBank 4G対応のモバイルWi-Fiルーターよりも広いエリアで利用できる。
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