小寺信良のIT大作戦
Appleの「iPhone Duo」は、折りたたみスマホの未来を開くのか、閉じるのか(3/4 ページ)
「まだ買いどきではない」という可能性
9月8日に日本経済新聞が報じたところによれば、iPhone Duoは極めて厳格な品質管理基準が原因で、現時点で1日あたり数百台程度の生産量にとどまっているという。日本発売が同時発表のiPhone 18 Proより約1カ月遅い10月23日に設定されているのも、数が揃わないからという理由と合致する。製造を難しくしているのは、ディスプレイの折り目に関わるヒンジの設計だとされている。
実際にiPhone Duoが発表される前には、新しいiPhoneの折りたたみスマホは「折り目が全くない」など、過剰に誇張した噂が出回った。中には巧妙なフェイク動画も登場した。
確かに現状の折りたたみディスプレイには、まっすぐに伸ばした時にも折りたたみ部分に若干のたるみがある。真正面から見れば大きな歪みなどもなく、実用上は問題ないが、少し横から見れば映像に若干の歪みが生じる。そこを問題視する消費者も少なくない。
なのでAppleならきっとその問題を解決してくれる、という妙な期待感が出てきたのだろう。だがAppleは自社で製品パーツを製造しているわけではなく、世の中に存在しないパーツがAppleにはある、ということにはならない。Appleの強みは専用ハードウェアと専用OSの組み合わせによるシナジーと、現実的な落としどころという着地のうまさであり、ハードウェアの先進性で売る会社ではない。
ただ、折り目を目立たなくするために、難易度の高いヒンジ設計を行っているのは事実であり、この生産が軌道に乗るまでは時間がかかるだろう。その歩留まりの悪さが価格を押し上げたと考えるのには、無理なところはない。
ただ同時発表のiPhone 18 ProまでDUOと同水準のレートであるという点においては、納得いかないところである。6.3インチのiPhone 18 Proは、最安の256GBモデルで21万9800円、最高の2TBモデルで42万9800円。6.9インチモデルの18 Pro Maxは、最安の256GBモデルで23万9800円、最高の2TBモデルで44万9800円。メモリー危機の影響で価格が上がるのは仕方がないとしても、なぜ日本円のレート設定がここまで市場水準と離れているのか。
搭載カメラなどの機能を絞ることで価格を下げた無印のiPhone 18や、廉価モデルという位置づけの「e」モデルは、今秋の投入は見送られた。廉価モデルの「e」は、同じ番号でも大抵翌年の春前に投入されることが多い。よって同時に発表されなかったのは妥当である。またminiやPlusなど、同時発表でも発売だけ遅れた例はある。
だが番号のみのベースモデルが同時に発表されなかった例は、過去なかったように思う。両モデルの魅力は値ごろ感であるが、ターゲットプライスとしては、iPhone 18であれば16〜18万円前後、iPhone 18eが出るとすれば、12〜15万円前後が妥当なところだと予想する。現状のメモリー危機の中では、こうした現実的な価格で製品化することが難しかったのだろう。
もしかしたら来春に、iPhone 18の投入を計画しているのかもしれない。さすがに数字のみモデルは出ない……とは考えにくい。またeシリーズはメモリー危機を脱したタイミングになるのではないか。そう考えると、18eは見送られる可能性が高い。
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小寺信良のIT大作戦
ベテランのテクノロジーライターである小寺信良さんがIT分野全般にわたって考察する。
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