小寺信良のIT大作戦

Appleの「iPhone Duo」は、折りたたみスマホの未来を開くのか、閉じるのか(4/4 ページ)

買い控え・シェアを落とす可能性

 iPhone Duoは、本体の仕上げの良さやOS・アプリの挙動など、総合的に考えれば既存製品よりも高い水準にあるのは事実だ。本当に欲しい人であれば、為替レートを睨みながら、並行輸入で購入するという方法を検討するだろう。あるいは高値で下取りに出せるモデルを所有している人も、実質的な負担が減れば検討するかもしれない。

折りたたみならではの使い方ができるiPhone Duo(出典・Apple)

 ただ利便性や生産性が上がったとしても、30数万円から50数万円のスマートフォンを電車内や飲み会の席でホイホイ取り出して使うかは、躊躇するところだ。落として破損する可能性や、盗難や強盗などの犯罪に巻き込まれる可能性を考えると、これまでのiPhoneとはちょっと違った慎重さが生まれるのではないだろうか。

 もちろん知識のある人なら、アクティベーションロック等の方法により、盗難品が簡単に再利用できるわけではないと知っている。だがそんな知識もなく、単に欲しい、高く売れるだろうと思った輩に襲われて怪我をする可能性も否定できない。

 総合的に見れば、iPhone Duoの販売数が折りたたみスマホ市場を牽引することにはならないと思われる。逆にiPhoneの線はもうないとして、これまで購入を躊躇していたAndroidの折りたたみスマホへユーザーが流れる可能性はある。「折りたたみスマホは高級品」というイメージが定着するだろう。

 これで起こると考えられるのは2つ。今後Android勢は、折りたたみスマホは「貴族のスマホ」であり、歩留まりが悪くても高値を付ければリスクは解消できると考え、機能も価格も異次元化していくという方向性。

 もう1つは、何らかの機能を落としてでも折りたたみスマホを低価格で提供すればメリットがあるとして、低水準化していくという方向性。

 現在のメモリー危機が解消するのは、早くても27年後半だといわれている。ユーザーは、あと1年半ぐらいなんとか現状で耐え忍んで、メモリー危機を脱したタイミングでどんな機種が出るか見極めるという選択肢がある。これはスマホに限らず、PCでも同じだ。

 現在スマホもPCも、AI機能をウリに商売したいと考えている。だがコンシューマー機器の価格を押し上げているのは、AI市場の旺盛なメモリー需要のせいだ。売りたい機能と、実際に売るものの間で、逆ザヤ状態が広がっている。

 消費者は今、かつてないほど賢い選択が迫られている。

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